2024年5月18日土曜日

鬼子母神さま

   東大寺の二月堂の下を散歩したとき、まるで垣根のように並んだ何本もの木に奇麗な花が咲いていた。
 見たことのある花だが咄嗟には名前が出てこなかった。(よく考えるとわが家の玄関の前の隣家からわが家に向かって咲いている花なのに・・・後で気がつく)

 前にいた女性が「スマホで撮ると花の名前が解るアプリ」を入れていたようで、如何にもそのように撮っていた。
 で、「名前は解りましたか?」と尋ねると、「アプリではザクロみたいです」と返事があった。

 「そうだ鬼子母神だ!」と私は叫んだ。
 目の前には東大寺の鬼子母神が祀られている。鬼子母神の前だ。だからザクロだ。
 私は鬼子母神さまにお尻を向けて、ただただ赤い花に見とれていたのだ。

 そも、お釈迦様が鬼子母神を諭した折、「それでも人間の子どもを食べたくなったら、人間と同じ味のするザクロを食べておきなさい」と言ったという俗説があるが、普通に如何にも種が多く見えるザクロは子孫繁栄、子どもの成長のシンボル(吉祥果)として鬼子母神と結びついたのだろう。しかし、こういうものは俗説の方が記憶に残る。

 鬼子母神は法華経の守護神でもあり、友人のお寺にも江戸時代以前からの鬼子母神像がある。念のため再確認したら、確かに一児を懐に抱きもう一方では吉祥果を持たれているという。

 そんなこんなで、先日は鬼子母神のお堂に向き直してお参りをした。
 近頃は神仏にお参りの際、小さい声ではあるが「孫の夏ちゃん、凜ちゃんがピンチの折はサポートしてやってください」と声に出してお参りすることにしている。
 言霊(ことだま)思想である。

4 件のコメント:

  1. 法華経の神髄を私ごとぎが説くことはできませんが、宮沢賢治の「雨にも負けず風にも負けず雪にも夏の暑さにもまけぬ丈夫なからだをもち欲はなく決して怒らず(中略)ひでりのときはなみだをながしさむさのなつはオロオロあるきみんなにでデクノボーと呼ばれ褒められもせず苦にもされずそういう者に私はなりたい」という詩が法華経の教えのしるべになっていると思っています。

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  2.  弁英さん心のこもったコメントありがとうございます。  鬼子母神はその法華経の守護神とされているのですね😊

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  3. 松本清張のイランのゾロアスター教を訪ねた本を読み返していたら拝殿の林はザクロの木が多い。祭司がする密儀の道具は仏教の密教の祈祷の道具に似ている。そこには植物の小枝の束はザクロであった。祭司は独鈷の股にザクロの小枝を挟んで搾ってあと小鉢に入れて叩き潰し別の鉢に入っている液体の中にその液汁を入れた。ゾロアスター教に用いる聖なる御神酒はハマオと言ってザクロの一種で心臓の動きを刺激し血圧を高め中枢神経を刺激させる神聖なものでゾロアスター教の教典にはこの事が詳しく記されている。(主旨)書いてありました。ザクロも歴史的、宗教、文化色んな関係があるんだなと感心しました。

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  4.  スノウさん、非常に参考になるコメントありがとうございます。サーサーン朝時代のアーリア人の「魅力的女性の基準」に「顔の色艶はザクロのごとく」というのを読んだことがありますから、ザクロは非常に「高貴?」なものだったのでしょうか。なおハマオは一種の麻薬草という説もありますが正体は不明でもあるようです。
     いずれにしても紀元前1世紀から数世紀のイラン高原には多様な宗教が花開き、大乗仏教にも大きな影響を与えたと考えられますね。阿弥陀、弥勒など・・そして、とすると鬼子母神の故郷は・・・? スノウさん又教えてください。

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