この列車には、「ハイキングシューズとナップザックだがハイキングのようでは決してない」という、一目でそれと判る人々が各駅から乗り込んできて8時34分「飛鳥」駅でどどーっと降車した。
だいたい私の乗車駅は都塚を発掘調査された故網干善教関大教授のお住まいがあったその最寄り駅でもあったから、最初からそれらしい人々も多かった。
私はバスの先頭に立っていたから、この集団の中では現地にイの一番に到着した。
それで10時開始のところを9時前に到着したのだが、既に2~3列で数百mの行列ができており、今度は晴天が恨めしかった。
で、事件現場を思わせるようにヘリコプターが舞う中、現地説明会は繰り上げられて9時15分ぐらいには始まって列が動き出した。
事前の新聞やテレビ報道では「6世紀後半の類例のないピラミッド型の古墳!」ということだったが、階段状の石積は荒っぽい作業に見えた。(崩れていることも多分にはあるようだが。)
なお、土の層は明瞭になっていたから、後年に畑や田圃のために造られた石垣ではないし、地形からしてもそれはあり得ないことは明らかだった。つまり、ピラミッド型古墳であることは間違いなさそうだ。
しかし、この時代以前の前方後円墳の葺石やこの後の方墳、円墳の葺石よりも見劣りがした。不思議だ。単なる(あるいは実用的な)土留めという発想だったのだろうか。
そうだとしても、巨大前方後円墳のイデオロギーが終了した後に、飛鳥中心部からみて正面の見かけの高さは7m、横幅41~42m、裾部に周濠を掘るというピラミッド型の古墳は堂々たるもので、「被葬者を立派に葬る」以上の思惑があったのかもしれない。
藤原氏の興福寺や春日大社が平城宮を睥睨していたように・・・・蘇我氏が飛鳥を睥睨・・?
(※ 伝推古天皇陵は63×56mの方墳)
(※ 蘇我稲目の後裔には馬子、蝦夷、入鹿の外に、欽明、敏達、用明、崇峻、推古、舒明、斉明、天智、天武各天皇や厩戸皇子)
NHKのインタビュアーが「誰のお墓だと思われますか?」と聞いてきたので「蘇我稲目とも言われているが勉強不足で解らない」と答えたら、その部分はカットされていた。
なお、日頃は見ることのできない横穴式石室も立派であった。
石棺の総高1.72mというのも巨大だし、飛鳥の中で唯一石室内に石棺がそのまま残っていて見ることができるものだった。
「類例のないピラミッド型古墳」というのは強く高句麗の影響を受けていると紙上で学者が解説していた。
だとすると、何をもって「日本の原風景」と言うかは諸説あるが、明日香を日本の原風景と言えば、ここは大陸文化を競って導入したスーパーモダン都市だったのだろう。
そんなことを考えていたが、当たり障りのない「夢が広がりますねえ」と言うところだけがテレビニュースで流された。
というか、それ以上の理論を語れるような知識もない。
私は10時15分ぐらいには遺跡を見終ったが、その頃には気の遠くなるような行列が後ろの方にできていた。
昼のニュースの限りでは「都塚現地説明会で熱中症」という話はなかったが、相当の人びとが戦列離脱していたに違いない。
文字で知った歴史を皮膚で感じる充実したひと時だった。これも御縁だからと夕方には祖霊と一緒に蘇我一族の霊も送り火で送っておいた。南無~。
NHKのHPで長谷やんのインタビューを見ようと思いましたが動画が無く記事だけでした。
返信削除スノウさん、今現在、『NHKニュース』のトップのすぐ下の動画のところにあります。
返信削除ご案内有難うございます。
返信削除拝見!しました。・・(朝は奈良放送局分で探していました)
今回は全国ニュースでした。ローカルから全国区に出馬、シルバーヒーローです。
返信削除みなさん、コメントありがとうございます。
返信削除でもね、私としては文字や写真をはるかに超える実見の感動、 飛鳥・蘇我氏・渡来文化を考える楽しさ・・を書いたつもりなんですけど・・・・・・・。
メールで質問がありましたが、都塚の読みは「みやこづか」です。
返信削除あらためて「蘇我一族」の事を調べようと思いましたが「蘇我の入鹿」が強烈過ぎて。
返信削除多分、中学の歴史の時間の「入鹿」という名前と、あの有名な首が飛んでるクーデターの歴史絵が瞼に焼き付いて離れません。
それから不謹慎かもしれませんが、日本食研のモヤシ炒めのCMに出てくる「入鹿のおしゃべり」が面白くて思考が停止してしまいます。
やっぱり歴史というのは『勝者の歴史』ですね。
返信削除天皇家をしのぐ大豪族であった葛城氏や蘇我氏の歴史は正当に評価されず、末はモヤシ炒めのサンドイッチマンなのですね。
ひげ親父さん、蘇我一族を概括できる本としては、岩波新書・和田萃著『飛鳥』(780円+税)があります。
返信削除モヤシ炒めのサンドイッチマンの意味が分かりません。
返信削除ひげ親父さんのコメントにある、「日本食研のモヤシ炒めの素のCM」に蘇我入鹿の肖像画が利用されているという状況を指しております。検索すると出てまいります。少し的外れの形容だったかもしれません。
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