『なかにし礼オフィシャルサイト』に戦争体験者の詩が載っている。
集団的自衛権行使容認の閣議決定のあった7月1日に毎日新聞からの依頼を受け、すぐに応えて書いた詩で、7月10日付け毎日新聞東京夕刊に掲載され、その後、Twitter や Facebook で大きな反響を呼んでいる。
氏は、「終戦から69年。戦争を知らないどころか平和憲法を満喫して生きてきた若い世代は、まさに平和の申し子です。草食系男子? 国を滅ぼすマッチョな男よりずっといい。心優しき彼らこそ平和を守ることができる。そんな彼らがいてくれることを僕は心強く思います。若者を『戦争を知らない』とか『無関心だ』とか批判するのは間違っている。僕たち戦争体験者は、若い世代とともに闘うための言葉を自ら探さなければいけません。」(なかにし 毎日新聞記事より抜粋)と書いている。
いみじくも1か月が経過した8月1日、なかにし礼さんの詩をここに掲載する。
平和の申し子たちへ! 泣きながら抵抗を始めよう
二〇一四年七月一日火曜日
集団的自衛権が閣議決定された
この日 日本の誇るべき
たった一つの宝物
平和憲法は粉砕された
つまり君たち若者もまた
圧殺されたのである
こんな憲法違反にたいして
最高裁はなんの文句も言わない
かくして君たちの日本は
その長い歴史の中の
どんな時代よりも禍々(まがまが)しい
暗黒時代へともどっていく
そしてまたあの
醜悪と愚劣 残酷と恐怖の
戦争が始まるだろう
ああ、若き友たちよ!
巨大な歯車がひとたびぐらっと
回りはじめたら最後
君もその中に巻き込まれる
いやがおうでも巻き込まれる
しかし君に戦う理由などあるのか
国のため? 大義のため?
そんなもののために
君は銃で人を狙えるのか
君は銃剣で人を刺せるのか
君は人々の上に爆弾を落とせるのか
若き友たちよ!
君は戦場に行ってはならない
なぜなら君は戦争にむいていないからだ
世界史上類例のない
六十九年間も平和がつづいた
理想の国に生まれたんだもの
平和しか知らないんだ
平和の申し子なんだ
平和こそが君の故郷であり
生活であり存在理由なんだ
平和ぼけ? なんとでも言わしておけ
戦争なんか真っ平ごめんだ
人殺しどころか喧嘩(けんか)もしたくない
たとえ国家といえども
俺の人生にかまわないでくれ
俺は憶病なんだ
俺は弱虫なんだ
卑怯者(ひきょうもの)? そうかもしれない
しかし俺は平和が好きなんだ
それのどこが悪い?
弱くあることも
勇気のいることなんだぜ
そう言って胸をはれば
なにか清々(すがすが)しい風が吹くじゃないか
怖(おそ)れるものはなにもない
愛する平和の申し子たちよ
この世に生れ出た時
君は命の歓喜の産声をあげた
君の命よりも大切なものはない
生き抜かなければならない
死んではならない
が 殺してもいけない
だから今こそ!
もっともか弱きものとして
産声をあげる赤児のように
泣きながら抵抗を始めよう
泣きながら抵抗をしつづけるのだ
泣くことを一生やめてはならない
平和のために!
オフシャルサイトのなかにしさんの言葉「平和の申し子という言葉が胸に浮かんだ日、詩から若者への説教めいたメッセージを削り、」を読んである人の言葉を思い出しました。俳優の仲代達也さんが、地元の中学生を招いた公演「マクベス」を上演した後で、「全部わからなくてもいい様な気がするんです。若い人向けに娯楽性やわかりやすさだけを追求するのは、若い人に対する冒涜だと思うんです」と語った。
返信削除時の為政者は、若者に何も教えず、享楽だけを与え、そして、平和ボケだ、と脅し、罵り、国を守れと戦争に追い込むのでしょう。
ひげ親父さんのコメントに同感です。
返信削除「耳年増」という言葉がありますが、子供は大人の話を理解しているものです。ほんとうの耳年増はそこで「解っていない振りをしておいてやろう」とするぐらいです。私がそうでした。
ヤンキーみたいな兄ちゃん姉ちゃんが子供を連れていて、小さい子供の髪を染め剃り込を入れたりしているのを見ると世も末かと思ったりしますが、先日の平和行進ではプチヤンキーみたいな若者が「戦争反対」って叫んでいました。こういうところをしっかり見ておく必要があるのでしょうね。
私は、「戦争を知らない子供たち」という大人(爺婆)こそが泣き叫ぶ時だと思います。
ご同輩のコメントを期待しています。
昨日の「毎日」夕刊に再掲されました。最早これは現代の「君死にたまうことなかれ」です。
返信削除著名人のネームバリューにおもねる気はありませんが、ビッグネームが声を出してくれることは素晴らしいことです。
返信削除ツイッター等で拡散に努めましょう。
私がフェースブックでこのブログを紹介したところから、友人が9日の「朗読の会」でこの詩を朗読することにしてくれました。
さざ波ぐらいのお手伝いができたでしょうか。何もしなければ何も進まないが、何かをすれば少しずつでも前に進むというのが実感です。