津軽弁の「せばだばまいねびょん」が同じ青森県内の南部の人たちには意味が通じず、南部弁の「んがでーんだっきゃ」に津軽の人が首を振るのだった。
ちなみに、同じ東北の宮城や山形の人も「わがんね」と大笑いだった。
もちろん、テレビのこっちの私も「なんのこっちゃ」と腹を抱えた。
「せばだばまいねびょん」は「そういうことじゃだめでしょ」ということで、「んがでーんだっきゃ」は「あなたはだれですか」というのが正解らしい。
私は、南部の八戸出身(在住)で津軽でも勤務されていた経験のある版画作家藤田けんじさんの「津軽のわらべうた」と「南部のわらべうた」という絵本を持っているが、これまではこの2冊の違いなど考えたこともなく、意味の解らないところ(注釈があるから解るのだが)も単に「キツイ東北弁」ぐらいの理解でいた。
わが胸に手を当ててみると、「きいひん」と「けえへん」と「こうへん」(来ない)の京都、大阪、神戸の言葉をいっしょくたにして関西弁だと言われたり、「きいひん」や「こうへん」を大阪弁だといわれると違和感があるように、「東北はこうだ」とか「青森はこうだ」とステレオタイプで誤解されるのは当事者の皆さんには不服だっただろうと反省する。
しかし言語以外でも、これとほとんど同じ「レッテル貼り」は、アジアの隣国や、あるいはイスラム諸国について、当然のようにメディアで報じられている。
「中国人はこうだ」とか「イスラム教徒はこうだ」というような決めつけである。
訛りにだって、場合によっては劣等感にも通じるような敏感な感情は、関西圏の人びとにはあまり理解できないようだが、それはさておき、標準語を上位と見て訛りをさげすみ、標準語的に決めつけられた考えを独善的に信奉し、そうでない異論を一方的に「遅れたもの」とみなす風潮は少し恐ろしい。
皆が訛りを大事にして、この列島の中だってこんなに違うのだから世界中にはいろんな考えや文化があるという度量が広がればいい。
で、写真の二つのわらべうたは何方が津軽で何方が南部だと思われます?
※ ふたつの絵本は青森県文芸協会出版部
http://www.a-bungei.co.jp
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