アンデス民謡「花祭り」をインドの仏生会の歌とばかり思っていたぐらいの私*であるが、4月8日、東大寺と興福寺の仏生会に参拝してきた。
この花祭り。「お釈迦さまの誕生仏のために花御堂をつくるので花祭りと言う」というのが一般的だが、民俗としての祖霊祭に繋がる『卯月八日』の『天道花』などの行事と習合したとの指摘を龍谷ミュージアム館長さんのツイッターで教えられて納得。
それにしてもこの国はすべてが金儲けとそのためのコマーシャリズムで動いているのだろうかと、マスコミにおけるイエス様の誕生日との天地以上の取り上げられ方の落差に首をひねる。
興福寺の10時に比べて東大寺の開始時刻8時は如何にも早く、その分、参拝者が多くなく(というよりも少なく)、少しひんやりとした朝の空気に包まれながらそれは始まった。
桜に覆われた回廊からお坊さんたちが登場(写真上)し、小一時間の読経があり、散華がまかれた。
私ほか参拝者は何回も誕生仏に甘茶をかけ(写真中)、別に甘茶を頂いた。
勤行の間中、大仏殿の庇では磯ヒヨドリ*が囀り続け、心地好いひと時であった。
10時からの興福寺南円堂前はさすがに人数が多く、なかなかに賑やかな行事だった。(入館料のようなものが不要=無料のせいもあったのだろうか。)
そのため、甘茶かけにも長い列ができ、見れば、柄杓がいっぱいあるのに一人か二人ずつお焼香の感じで進んでいたので、「後の方のために何人ずつかで一緒に行いませんか」と呼びかけたが、なにか「並んだからには真正面(の席?)を譲るものか」というように私の言葉は受け入れられず、「そんな気持ちをお釈迦さんは喜ばないだろうに」と心の中で呟きながら後にした。
どういうわけか、ここ南円堂でも終始磯ヒヨドリが囀っていて(写真下)、子供向けの仏教の絵本風にいえば「鳥さえもお釈迦さまの誕生日をバースデーソングで祝っているよう」だった。
* 「甘茶かけ」は小学校低学年の頃に一度したことがあるぐらいで、花祭りに参拝したのは事実上初めてだった。
* 磯ヒヨドリは日本では海岸の岩壁にいたことからその名前が付けられた。探鳥会に参加していた15年ほど前までの奈良公園にはいなかった(だから全く知らなかった)が、南都の大伽藍を岩壁代わりにしたようだ。外国では磯に限らず都市のビルや高山の岩壁にいるというから、この鳥のグローバリゼーションはすさまじい。
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