2011年1月21日金曜日

酸茎は古都の味

 酒席で酔っ払い同士が冬の漬物自慢をしたとき、広島菜や野沢菜を押しのけて“すぐき”を一番と決定したことがあるが、その理由は一番大きな声でしつこく主張したという単純な“酔っ払いの法則”に沿ったまでのこと。
 しかしこの“すぐき”・・。塩を振っただけの酸茎菜を天秤重石で嫌気状態にし40度という高温で乳酸菌発酵させるという他に類例のない文化財的漬物らしい。わが国唯一の自然漬物と書かれた本もある。
 近所に“洛北の寒さから逃れて転居してきた”方がおられ、洛北に帰られたときには必ず上賀茂神社参道で“すぐき”を購入され、「お好きだから」と毎回お裾分けしていただいているので、ますます好きになっている。
 この“すぐき”は、300余年前の文献にも登場している由緒正しい漬物でもあり、発祥の地である上賀茂神社も京都最古の神社の一つで勅祭・葵祭でも有名であるが、さらにその本家が奈良県葛城山麓の高鴨神社(上鴨社といわれる。中鴨社・下鴨社も近辺にある)であることを知る人は少ない。
 葛城山麓は明日香のように騒がれもせずひっそりしているが、“土蜘蛛塚”をはじめ古い神社や遺跡も多く、この地を歩くと“天孫・天皇族に滅ぼされた葛城王朝を支えた鴨族”という説に親近感を覚えてくる。(恭仁京、平安京で復活?)
 寒い冬の日、“すぐき”を食べながら古代の物語を思うのも楽しい。

1 件のコメント:

  1.  私も「すぐき」は大好きで漬物の王様だと思います。すぐき紛いの物は安く手に入りますが上賀茂辺りで売っている本物は超高価で、かつ、寒の入りの具合で「今年は未だ漬かっておへん」と、にべもなく断られることもあります。でも、鍋の〆の雑炊に合うのは、何と云っても「すぐき」ですな~。

    返信削除