2024年8月1日木曜日

うちわ菓子

   民俗などという言葉を振りかざさなくても生活習慣や行事というものはおもしろい。
 もともと旧暦(太陰太陽暦)で長く暮らしてきた人々が、新暦(太陽暦)に切り替わったとき、大きくは、①ストレートに新暦に切り替える。②旧暦のまま切り替えない。③新暦はおよそ1月早くなったので1月遅れの新暦を適用する。の3通りの選択があった。

 そこで①だが、圧倒的なお正月は①の新暦で行われている。ただこれだと3月3日の桃の節句に桃は咲いていないし、7月7日の七夕はまだ梅雨の真っ最中となっている。もっといえばお月見は新暦ではどうしようもない。

 だからといって②の旧暦は使いづらいしということで、例えば秋祭りなどは発想を転換して〇月の土日とか連休にする場合も多い。そんなことで、③の、月遅れのその日に実施するというのも一種の知恵だっただろう。

 そこでお盆のことだが、全国的に見ると②の旧暦の7月16日前後というのは少なくなり、東京周辺の①の新暦7月も圧倒的というほどには広まらず、生活の知恵みたいな③の月遅れの8月のお盆が大勢というのも面白い。
 しかも、東京への人口の集中は、東京での8月お盆の風習の増加を来しているという文章もある。

 多くの文献では、新暦7月は農作業が忙しく普及しなかったとあるが、明治維新前後の都会であった京、大阪でも7月のお盆は普及していないから、商家の藪入りの風習も7月に馴染まなかった理由かもしれない。
 ようするに、7月のお盆は馴染まないし、お盆は8月がピッタリくる。

   ところが、近所の全国展開のスーパーは7月のお盆目指して品物を並べる。といってそれでは関西では馴染まないからそのまま8月のお盆までラインナップを続けている。

 スーパーのお盆の品物は、わが家ではあまり身近でない。
 そも浄土真宗本願寺派(お西)や真宗大谷派(お東)は基本的にお盆という教義がない。それでも、何かの型がないと反省もしない凡夫たる私は、教義にはないが迎え火、送り火などをする。

 その一つとして盆菓子も購入するのだが、それはただ1品、うちわ菓子だけというのが近年のしきたりなのだが、どういうわけかこのうちわ菓子、7月のお盆に向けては並ぶのに、それ以降は例のスーパーに並ばない。
 だから去年は通販で購入した。
 今年は7月早々に購入して冷凍室で湿気ないよう保管して、仏様ならぬ孫が来るたびに祖父ちゃんと一緒に食べて季節を感じている。

1 件のコメント:

  1.  ジャンルとしては麩焼き菓子らしいが、最中の皮だけというか、やさしいウエハースというか、味よりも笑って食べるから楽しい「うちわ菓子」。

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