2022年12月2日金曜日

八咫烏(やたがらす)

   ワールドカップ日本チームのエンブレム(日本サッカー協会のシンボルマーク)が南紀の熊野三大社の八咫烏であるのは有名だが、古事記そのものには「三本足の烏」とは書いてなくて、「八咫」つまり「大きな烏」でしかない。
 それが三本足の烏となったのは、「太陽には三本足の烏が棲んでいる」という古代中国の神話を引継いだ道教に由来しているのだろう。
 もっとさかのぼれば、古代の世界では洋の東西を問わず「三本足の鳥(とり)」の神話があるというから、それを日本チームのシンボルにしているのも少しだけ恥ずかしい気持ちがするが・・・。
 まあ「日本人はアレンジをして仕上げるのが上手い」という評価?どおりだと笑ってスマそうか。

 ちなみに記紀では、八咫烏の道案内で熊野から攻め上ってきた神武は奈良の畝傍山で2月11日(紀元元年元日)に即位して建国したわけなので、途中に八咫烏神社があったり、吉野には八咫烏という有名な清酒があったり、橿原神宮には八咫烏のお守りもある。

 後半の話は古代史ではなく近世乃至近代史である。

 神武天皇陵の治定と橿原神宮の建立に関わっては未開放部落の強制移転があり、小説ではあるが、住井すゑ著『橋のない川』に出てくる。重ねて言うが、記紀神話の解釈も遺跡?も古代史ではなく多分に近代史、それも富国強兵、絶対天皇制を補強するための「改竄」を大いに含んでいることを忘れずに、あのエンブレムを見て応援してほしい。

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