2016年2月9日火曜日

ツグミ喜べばケラが腹を立てる

家の前にやってきたツグミ
  「ツグミ喜べばケラが腹を立てる」は、野鳥に関する著作の多い国松俊英氏の本にあったもので、その本を読むまでは私は全く知らなかったことわざだった。
 意味は、利害の対立する関係のことで、一方の怒りが他方の喜びになること。
 そんなことは現代社会でゴマンとある。それはさておき。何故ツグミに対してケラなのか。

 由来は、「釣りツグミ猟」とある。
 おもに茨城県鹿島郡で行われていたが、ツグミを鉤で釣る猟法で、鉤に木綿糸を60センチくらいつけ、竹の棒に結び地面に固定する。鉤には餌としてケラやミミズを使った。熟した実のなった木の近くに仕掛けたとある。
 その本で読む限り、魚の釣りと同じように、ツグミが啄ばんで鉤を口や喉にひっかけたようだ。鉤というものが特別のものか釣り針のことかも判明しないが、まあそういうものだろう。
 現在はもちろん、カスミ網同様法律で禁止されている。
 鳥獣保護及狩猟に関スル法律施行規則に、禁止される猟法として「つりばり又はとりもちを使用する方法」という文言も見えるところからもその種の猟法のあったことが認められる。
 
 伏見稲荷の門前町ではスズメの丸焼きが有名だが、以前はツグミの丸焼きも売っていた。
 近頃なくなり、代わりに養殖と思われるウズラの丸焼きが売られているのは、ツグミの密猟が減ったためだろう。
 毎年400万羽ほど獲られていたというから、捕獲禁止もやむを得ないと思っている。
 それに、軽々に判断はできないが、私の感覚でもここ数年ツグミの数は減っている。
 冬鳥のシベリヤや夏鳥の東南アジアの開発、工業化で環境が悪化したためでなければよいのだが。それともやっぱり国内のカスミ網による密猟?
 自然を克服した人工的な街が文明の象徴であるかのような馬鹿な誤解があるが、自然を大事にする思想こそが文明だというのは自明のことだ。

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