2014年11月23日日曜日

誰の身を切る

 テレビの出演者たちが非常に軽い飾り文句で「政治家は身を切る努力もしないまま解散してけしからん」という言葉を吐いているが、その「身を切る」という言葉の中身は議員定数削減であり、その中身は、実際「小選挙区を削減すべし」と言った声は聞かないから、政治的には与党の乗りやすい比例代表定数の削減ということになっている。付言すれば、多くの場合、不思議なことに政党交付金廃止をあまり言わない。
 22日に発表した維新の党の選挙公約も「身を切る」がキャッチフレーズで、定数削減を掲げるが政党交付金にはだんまりだ。まあ、この党の公約などは眉唾もので、当選したなら「全権委任されたも同然」と好き勝手をしてきたことは大阪で証明済みだ。 
 元に戻って、・・・だとすると、庶民の声が国会に届かないというもどかしさの一方で、少なくない私腹を肥やす議員への正当な怒りに発した声の側面があるにしても、「身を切るべし」のその声はブーメランとなって庶民の声を切り捨てることになる。
 私の結論めいた意見を先に言えば、現代ニッポンの政治を歪めている二大要因は、①政党交付金と ②小選挙区制 であるが、身を切れ論はそれを温存助長する役割しか果たさず、民主主義を後退させろという論に行きつく。
 それを過去4回の国政選挙の自民党と民主党と共産党の得票率で検討する。

平成21年8月第45回衆議院議員選挙結果
          小選挙区                      比例代表
        得票率  議席数  議席率   得票率  議席数  議席率
 自民党   38.68%        64     21.3%      26.73%        55     30.55%
 民主党       47.43%       221    73.7%      42.41%        87     48.33%
 共産党         4.22%           0        0%         7.03%         9       5.00%

平成22年7月第22回参議院議員選挙結果
          小選挙区                      比例代表
        得票率  議席数  議席率   得票率  議席数  議席率
 自民党   33.38%        39    53.42%      24.07%       12     25.00%
 民主党       38.97%        28    38.35%      31.56%       16     33.33%
 共産党         7.29%          0          0%        6.10%         3       6.25%

平成24年12月第46回衆議院議員選挙結果
          小選挙区                      比例代表
        得票率  議席数  議席率   得票率  議席数  議席率
 自民党   43.02%      237    79.00%       27.62%        57     31.66%
 民主党       22.81%       27      9.00%       16.00%        30     16.66%
 共産党         7.88%         0         0%          6.13%          8       4.44%

平成25年7月第23回参議院議員選挙結果
          小選挙区                      比例代表
        得票率  議席数  議席率   得票率  議席数  議席率
 自民党   42.74%        47    64.38%      34.68%        18     37.50%
 民主党       16.29%        10    13.69%      13.40%         7     14.58%
 共産党       10.64%          3      4.10%         9.68%         5     10.41%

 以上のとおり、小選挙区制は多様な意見を切り捨て、多数党に虚構の議席数を配付する。
 その上に立った内閣はいわば「上げ底政権」(神戸学院大上脇教授の命名)で、民意とはるかに乖離した暴走が可能になっている。
 そもそも連邦国家でもない我が国で、選挙区を小さく分けてそのほとんどを一人区にすること自体が民主主義と相いれない。
 選挙区の比較第一党がその選挙区の代表意見だというのは暴論に近いし、選挙区を小さくすれば清廉になるという夢物語の馬鹿馬鹿しさも歴史が証明している。
 こういう正論を真っ向から主張しているのは共産党しかないし、事実、共産党以外の全政党が政党交付金を懐に入れている。
 選挙制度は民主主義の根幹である。
 こういう民主主義と相いれない選挙制度に目をつぶって他国の人権問題も何もないものだ。
 残念ながら、それでもこの不当な制度の下でも勝っていかなければならない。
  歴史はそういう困難を厭わない先駆者によって切り開かれてきた。

8 件のコメント:

  1.  先日テレビのコメンテーターが「先の総選挙の自、公与党が獲得した得票総数を野党全体で得票した票は600万票程上回っていたが票が各野党に分散したため与党に3分の2以上の議席を与える結果になった」とコメントしていたが、小選挙区制の特徴である「数多くの死票を生む弊害」には触れることなく野党の対応について今度の選挙でいかに対応するかということに終始してしまいました。
     「選挙制度は民主主義の根幹である。」ことは言うまでもないことはですが、保身の為国民が求める選挙制度にしようとする考えが皆無であることに、日本の民主主義の未熟さを感じます。
    とは言え「不当な制度の下でも勝たなくてはならない。」ことの意見は全くそのとおりだと思います、もらったチャンスを逃すことなく大躍進すべく頑張りましょう!

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  2.  chinunoumiさん、死票の弊害、ほんとうですね。そして、与党よりも右翼的で独裁的な野党までを十把一絡げで野党というのですから、真面目な議論には値しないと思います。
     ただ、非常に良心的な無党派層の中に「どうにかして安倍暴走ストップの選挙協力はならないものか」という声もあり、私は100%切って捨てる気はありません。そのことについてはもう少し考えてから書きたいと思っています。

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  3.  競馬の予想屋のような話は慎まなければなりませんが、比例代表で10数%は夢ではありません。そうなれば確実に世の中は変わります。
     事実、23回参議院選挙の東京では共産党の比例票は民主を抜いて野党第1党でした。
     小選挙区中心の歪んだ選挙制度の下で気弱になる必要はありません。
     「勝利の秘訣は諦めないこと」・・この言葉好きです。

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  4.  既に承知とは思いますが、沖縄県では総選挙で県知事選での枠組みで共同する旨の記事で、沖縄では何か変わりつつあるのでは?と思います。「新基地反対」の候補を擁立するというもので、これまでの保守対革新の立場を越えた「新基地反対」の一致した目標を掲げ全選挙区で戦うというこれまでになかったもので、結果が楽しみです。
     勿論、過大評価は禁物ですがこれがうまくいけば、秘密保護法、集団的自衛権、原発等の反対運動にも少なからず影響を与えるものと思います。「勝利のため諦めず」頑張りましょう。

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  5.  翁長知事を実現した「建白書」グループが沖縄の全1~4区に統一候補を立てたことは素晴らしいことだと思います。1区赤嶺政賢(共産)2区照屋寛徳(社民)3区玉城デニー(生活)4区仲里利信(無所属)で、沖縄を裏切った自民に鉄槌を下そうということです。共産党も2~4区の立候補をしないのです。
     この素晴らしい歴史の1ページを開けさせないようにと、1区に下地幹郎を維新公認民主推薦で立てようという動きが現実化しています。よく「自民の暴走を許さないためには共産は立候補せず民主を応援せよ」という意見がありますが、結局のところの本心が選挙のための野合であり、当選すれば与党にすり寄る立場であることがこのことからもバレバレです。chinunoumiさん、沖縄の4候補を応援しましょう。

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  6. chinunoumi さん、長谷やん、本当に沖縄の歴史は今変えられようとしていると思います。大阪でも橋下維新はヤセ我慢で「批判が怖くて断念したのじゃない」と言っていますが、間違いなく世論が追い詰めています。沖縄に負けないようにガンバリましょう!

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  7. お互いに信頼関係を作って、いい候補者を選んでというところから選挙共闘というのは進む気がします。取り組みを通じて、お互いの結束が強まるかというところが一番大事なところですね。

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  8.  mykazekさん、おっしゃるとおりだと思います。
     他所事ですが、維新と民主の選挙協力でどんな未来が展望できるのでしょうかねえ。

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