7月6日の朝日歌壇のうち永田和宏選の最初の三つ
特攻は命じた者は安全で命じられたる者だけが死ぬ (奈良市)直木孝次郎
学問と言論にまだ自由あり自民の推した学者が違憲と (西海市)前田一揆
大学が職務訓練の場と化してどこへ行ったかリベラル・アーツ (さいたま市)伊達裕子
それに対する撰者の〔評〕
直木氏、至極当然の認識。だがこの老碩学にかく悲痛直截な歌を作らせるまでに状況は危うい。前田氏、あの違憲発言を快挙と思いたくなるほどに我々は暗い時代を予感していないか。伊達さん、現在の大学を巡る状況に同感。
さて、直木孝次郎著『万葉集と古代史』(吉川弘文館)は私の愛読書のひとつである。
万葉集を文学としてだけでなく、「古代史のかけがえのない史料の宝庫」と教えてくれた書である。
しかも、薄っぺらい史料ではなく、その時代の人々の心の襞にまで分け入って分析されている。
その著者が、こう歌ったのであり、
そのことを思うと、この歌よりも撰者の評に大いに共鳴した。
伊達さんの歌について、学のない私は正確に確かめたいと「アーツ」を安直に検索したところ、トップに「リベラルアーツ」が出てきたので、きっと私と同じように朝日歌壇を確かめたいと思った読者がいっぱいいたのだと少し可笑しくなった。
なお、老碩学は若草山モノレール計画にいち早く憤りのコメントを寄せられた。
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