2015年7月14日火曜日

殿(しんがり)は一番危険という常識

  政府・与党は戦争法案について「十分な審議時間が経過したから15日中にも委員会裁決をする」と言っているが、答弁不能や意味不明の「答弁」時間を含めて「審議を尽くした」と強弁するのは、大阪で橋下市長が「多数決が民主主義だ」「選挙で勝ったということは白紙委任を受けたと同じだ」と言い回ったことと同じで、民主主義とははるかに遠いもので許すことができない。
 写真の文字は俳人の金子兜太氏の筆になるもので、作家の澤地久枝さんが「18日の午後1時に一人ひとりがこれをかざして意思表示をしよう」と呼びかけている。

 「自衛隊が戦争に巻き込まれる」という質問に首相は「戦闘が起きればただちに一時中止、退避する」と答弁しているが、当の本人が百田尚樹氏との対談本「日本よ、世界の真ん中で咲き誇れ」の中で「ここは戦闘地域になったので私たちは撤退しますと説明するとどの国のリーダーも大変驚かれます」と述べ、百田氏が「国際社会では通用しませんね」と言うと、「通用しません」と答えている。
 普通に理解力のある大人なら「本に書いてあることがホンネで、国会答弁が嘘」と理解するのが常識だろう。
 そう考えると、この国の民主主義が危機的状況にあるという指摘が全く大げさでないことが判るように思う。

アフガンの後方支援部隊
  アフガンで人道支援を続けるペシャワール会現地代表の中村哲医師は、「餓死線上100万人といわれた2000年当時でさえ治安は良好だったのが、アメリカと連合軍の軍事介入が国をぐちゃぐちゃにした・・・治安維持活動が治安を破壊した」「私たちは軍服を着た自衛隊員が目の前を歩き回ることがなかったので、信頼関係を辛うじて維持できた」「ドイツは国際治安支援部隊に参加して50人以上の兵士を亡くした上に敵を作った」と赤旗日曜版に語っているが、ここにこそ良識と真実が存在している。

 後方支援などと言うと安全であるかのようにイメージ操作されているが、これは兵站(へいたん)であり輜重隊(しちょうたい)である。そして、戦争になれば先ずここが狙われるというのが軍事の常識でもある。
 今は「自衛隊員のリスクの問題」と考える向きもあるが、複数の「戦死者」が生じた場合、「志願した自衛隊員だけが戦死するというのは悪平等だ」という、民主主義と平等のために「徴兵制を敷け」という「世論」が起こらないだろうか。欧米並みのテロの脅威と併せて・・・・、
 そしてそのときには、もう誰もが「ちょっと冷静に考え直そう」とは言えない空気が充満していることだろう。
 そう考えることが「歴史に学ぶ」ということだと私は思っている。

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