2014年7月13日日曜日

漫画家は偉い

 この種の本がいったい書店の何処に並べられるものなのか見当がつかないから、本屋の検索コーナーへ直行して「やくみつるのコミックで大事小言(おおごとこごと)は何処でしょう」と尋ねたら、検索しようとする女性を制して後ろの女性が何処かに行った。(正しくは大事小言でなく小言大事だった・・・が。)
 その女性の動作の意味が解らず「何があったのか??」と思っていたら、手にこの本をもって「昨日入荷したところです」と言って渡してくれた。11日。プロである。

  帰りに、この本のあった場所を見てみたら、「サブカルチャー」のコーナーだった。こういうのは世間ではサブカルチャーというのか。ひとつ勉強になった。
 中身は「しんぶん赤旗日曜版」連載の四コマ漫画のダイジェストで、中には私に関係する問題が微妙に取り上げられているものもあったからそこは複雑な気持ちもあったが、全体としては、愉快な世相風刺漫画である。
 やくみつる自作の金言・格言が「君子、危うきに近寄らずんば、虎子を得ず」だそうで、その見上げた根性には感心する。

 ほんの少しだけ短い文章もあって、起承転結というセオリーをもう一回転させる漫画の例を文章で・・・、
 阪神タイガースが突如緑色のユニホームで巨人戦に臨んだネタ。
 一コマ目=熱烈な阪神ファンと思しきオヤジ、意気揚々と甲子園球場にやってくる。
 二コマ目=スタンドに上がってきて凝然とする顔のアップ(グランドは描かず)。
 三コマ目=一コマ目と同じ画角ながら、今度は球場から慌てて駆け出してくるオヤジ。
「アカン、ワシもいよいよボケて来よった。」
 四コマ目=右=古女房と卓袱台を囲むオヤジ。
「甲子園に行くつもりが、大阪球場に行っとった。緑のヤツがギョーサンおったワ」
 四コマ目=左=古女房が応答する。
「なに言うてんでっか。交流戦で阪神が南海とあたっとったん違(ちゃ)いますぅ?」
・・・・とあった。
 文字を読んでも感心する。四コマ目右で十分に出来上がっている話を、さらに左でボケている。なるほど。

 やくみつるの感性には遠く及ばないが、その爪先ほどのセンスを磨きたいものだ。
 キャッチコピーや漫画は「寸鉄人をさす」。・・・こともある。
 だから、為政者は「はだしのゲン」を仕舞おうとする。

  鳥取市教委はそこまでの意味もなく、程度の低い「反響」とやらに腰を抜かして、マスコットキャラクター「かつ江さん」をHPから削除した。情けない。
 が、その意味するところを寸鉄のごとき四コマに脚色する能力が私にはない。悔しい。

 この本には収録されていなかったが、3.11直後の「小言大事」の印象が私には強かった。
 やくみつる本人が、東北の肉親?と連絡が取れず、心配で心配で小言も出ず、オチすらなかった。四コマともオロオロするやくみつるを描いただけだった。歴史に残る記録作品だと私は思う。

 四コマ漫画といえば「日刊しんぶん赤旗」の『まんまる団地』は7月12日に13776回を数え、日刊全国紙連載四コマ漫画で最長記録を更新中である。
 作者のオダシゲ氏はこの作品で5月に日本漫画家協会賞を受賞している。
 『小言大事』も『まんまる団地』も大好きだ。

1 件のコメント:

  1. 謹告 最近のコメント100件を誤って削除してしまいました。
    コメントを戴いた皆様には誠に申し訳ありません。
    どうか、これからもコメントをよろしくお願い申し上げます。

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