天牛(カミキリムシ)は、非常に種類が多いうえにカラーバリエーションも豊富で「愛すべき昆虫」といえよう。
「虫屋」の世界では蝶に次いでコレクターが多いと読んだことがある。
しかし、その幼虫テッポウムシには、白樺、サンシュユ、ミモザ等々、私も何本ヤラレタか判らないし、また、マツノマダラカミキリはマツノザイセンチュウを運んで松枯れ病を国中に広めているから、「愛すべき昆虫」などと軽々しく言っていられないかもしれない。
樹木の下部に鉄砲が撃ち込まれたような穴があき、おがくずのような小山を見つけたときには手遅れである。
そんなことを言うと、すべての・・といっていいほど蝶類も甲虫類も幼虫の時は害虫だから、そんなあれこれを冷静に考えると、カブトやクワガタを含めて「愛すべき昆虫」などほとんどいないことになる。
写真のは最もポピュラーなゴマダラカミキリ。
比較的動作がのろくて捕まえやすいし、生命力が強くこういう虫籠に数日間放っておいても生きている。
背中や触覚も持ちやすい。
捕まえた時などキー、キーと鳴くが、その動作と相まって「昆虫ロボット」という感じがして、何とも言えない快感がある。
噛切り虫か紙切り虫か髪切り虫か諸説あるが、髪切り虫というのが定説らしい。
ちなみに、鋭い顎に持っていくと、髪の毛も紙きれも見事に切る。これも楽しい。
が、トカゲ大好きな夏ちゃんはカミキリの方は掴まえたくないそうだ。
天牛という字は中国語で、・・なるほど、・・江南の水田で犂(すき)や馬鍬(まんが)をひく牛のようではないかと言われると・・想像を限りなく広げると肯ける。
義母は曾孫に「曾祖母ちゃんは牛を飼っててんで」「も~」と話しかけるが、曾孫はあまりにリアリティーを感じないのかその話に乗ってこない。
牛を使う長江流域の農耕は日本文化の源流に違いない。
そのことがその天牛という名前とともにこの昆虫に親しみを感じさせるのだろう。
天牛を見ながらそんなことをつらつら考えた。
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