2014年7月3日木曜日

海鞘は三陸の香り

 
  今から40数年前、短期間、首都圏で住んでいたが、そこで初めて「ほや」を知った。
 当時の大阪ではなかったように思う。
 結婚間もない妻が店で見つけて「どうやって食べるん?」と関西弁で親父さんに聞いたら、「食べたことのない人(関西人)は止めとき」と言われたので買わずに帰ってきて、「そんな食材こそ買ってきてほしい」と私が言ったことを思い出す。
 もちろん、ほどなくリベンジした。
 それは、東日本、主に東北・三陸の海の幸だったが、個性的といえば個性的な味だった。 
 関西に帰ってきてからは鶴橋市場で売られていることを知り、家庭でも居酒屋でも度々食べた。
 私としては夏を代表する食材のひとつである。
 一説には強精の効能ありとして「保夜」との当て字もあった。(これは余談)
 その「ほや」が、非常に珍しく、‟ありきたり”で有名な近くの大型スーパーに並んでいた。
 
  しかし、需要がないのだろうか、早々に値引きのシールが貼られていた。
 なお、それは皮や内臓を処理してビニール袋詰めされたものだった。
 そのせいだろうか、あるいは膾の酢が悪かったのか、なんとなく締まりのない味だった。
 万人向けに水洗いされていたようで、あのキューッとした磯の香りがぼやけていた。
 まさか、大震災とフクシマの後遺症ではあるまい。
 三陸の香りをキューッと浴びて脱原発に再出発と考えていたが、ちょっと調子に乗れなかった。
 小泉武夫教授の本に「この肴ほど鮮度が落ちるとガクンと音を立ててまずくなるのも珍しい。」とあるから、単純にそうだったのだろう。
  3歳の孫の様子を見たが、どういうわけか最初から手にとろうともしなかった。この子の直感はスルドイ。
 ひげ親父さんの奥さん手作りのアクセサリーを喜んではしゃいでいるだけだった。
 ひげ親父さんありがとう。
 自公による歴史的暴挙の直後にこんな緩いブログを書いていていいのかと反省しつつ。

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