2013年1月25日金曜日

社会の癌を封じたい

  大安寺は、古くは聖徳太子が奈良県の生駒谷の平群(へぐり)の地に建てた熊凝精舎(くまごりしょうじゃ)で、のち百済大寺、高市(たけち)大寺、(飛鳥の)大官大寺から大安寺へと変遷した我が国最古の国家が造った巨大な官寺で、東大寺が建立されるまでは南都の筆頭寺院であったと、奈良文化財研究所編「奈良の寺」にある。
  私は、司馬遼太郎の「空海の風景」を読んだ後、その風景を共有したくて大安寺を訪れたことがあったが、その何とも寂れた様子にそのときは声を失った。

  この、かつての国立最高学府であった寺が今では「癌封じの祈祷」で有名というのも寂しいことだが、「笹酒祭り」は、元々は光仁天皇の「林間酒を温める」風流にあやかろうというお祭りであるので、23日に、どんなものかと覗きに行った。
  我が家からは、自転車、電車、臨時直行バスで30分もかからなかった。
 バスはお爺さんお婆さんでいっぱいで恥ずかしかったが、客観的には「あんたもいっしょや」と違和感なく溶け込んでいたのだろう。

  「笹酒」は、青竹の竹筒を焚火の周りに立てかけてお酒を温め、竹を切り取った御猪口でいただくのであるが、各テレビ局(ニュース)のカメラが絵になりそうな人の周りを走り回って、その場は宗教行事というよりも賑やかな有名イベントという感じであった。
  竹筒も御猪口もじっくり観察してきたから、青竹を加工して、そっくり真似たイベントをするダンドリは頭の中に十分蓄積した。あはははは・・そんなことを何処ですんねん。
 用意の良い人は何回かいただいた笹酒をポットに貯めていたが、病人さんに飲ませてあげようとの必死の思いなのだろう。
 ノウテンキな私は、写真の娘さんから何杯も注いでいただきホカホカした気分で楽しく大安寺光仁会(こうにんえ)を後にした。
 夕方、テレビのニュースを見ながら、妻の持つ青竹の御猪口にお酒を注いだ。


3 件のコメント:

  1.  「現世ご利益を言ったり罰が当たると言うような宗教は嫌いだ」とブログに書いたことがあるが、楽しい寺社のお祭りは大好きです。今日は道明寺の初天神・鷽替え神事の日ですね。

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  2. 「初天神うそ替え神事」の道明寺天満宮のすぐ近くに「道明寺」があり、ここで「ほしいひ」と墨書きした和紙の袋に入った「道明寺粉」が売られています。袋には、四角いレッテルが張られ、「登録商標-糒(ほしい)」「巴里大博覧會金牌受領」と麗々しく書かれています。以前買ってみましたがついに実用化(和菓子に)せず、ベランダの雀が嬉しそうに食べていました。

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  3.  「道明寺」大好き人間です。にも拘らず「道明寺粉」を知りませんでした。ひげ親父殿のコメントで目から鱗です。食感から『もち米とうるち米を混ぜて蒸したもの』と思い込んでいました。
     ということで、関西風の桜餅大大好きです。身内だけの席なら桜の葉までいただきます。道明寺を使わない関東風の桜餅は想定外です。関東派の反論をお待ちいたします。

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