私は基本的に都会っ子であったので、蜩(ひぐらし)というと、山間の、裏に川が流れている旅館に泊まったときに川の向こうから聞こえてくる、夕暮れを告げる時の声というのが、文句なく頭の中に浮かんでくるシーンである。
だから、あのカナカナカナカナ・・は、旅情も加味された少し物悲しくて涼やかな、チョッとその筋の琴線に触れる感情と切り離しがたく結びついている。
そして、こういう連想は、元日の朝に何となく目出度く感じるような、全ての日本人に共通するメンタルだと信じて疑っていなかった。
ところが赤目の旅館に泊まったときに、蜩が夜明け前にも大合唱をするのを初めて知った。
日中の蝉の大合唱には「蝉時雨」という粋な名前がついているのに、この夜明け前の大合唱には名前がないのだろうか。ヒグラシスコールとか。夜明け時ではあるがスコールがピッタリのまるで豪雨
のようなものだった。
これはクマゼミ |
狭い経験でものごとを決め付けてはならないものだとつくづく反省させられた。
7.22PS 今日は、珍しく最高気温が30度に達しない薄曇りの一日だったので、奈良公園を散歩した。たまに厚い雲に覆われ原生林が暗くなると蜩の大合唱が起こり、明るくなると嘘のように鳴き止んだ。
ということは、彼奴らは体内時計で鳴くのでなく、光の変化を考慮?して鳴いているらしい。
それにしても、何故明るいと鳴かずに夕暮れの条件で鳴くのだろう。白昼公然と鳴くと鳥に喰われ易いと遺伝子が学習したのだろうか。解からない。
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