近鉄奈良駅を降りて奈良公園に入るとすぐ、県庁の向かいあたりの松の大木が異様に変形している。そんな木が何本もある。
理由は明瞭で、鹿が切られた角の頭をこすりつけるからだが、それにしてもその変形ぶりや尋常ではない。何頭も、何代も、何年もそうしてきたようだ。
そして、まったく相手にされていない木もあるのがまたおかしい。
それにしても、鹿は何故執拗に角のない頭をこすりつけているのだろう。
仮説をいろいろ考えてみる。
1、切られた角の根からは再び角が伸びようとしているのだろうが、それが微妙に痒いので鹿は頭を掻いている。
2、頭を使ってマーキングをしている。
3、繁殖期のバトルに向けて日頃からトレーニングを積んでいる。etc
・・・と、愚にもつかない想像を巡らせてもしようがないので、財団法人 奈良の鹿愛護会に尋ねてみた。で、その回答は・・・、
1、鹿は角が完成して堅くなると、角を磨くために角を木に擦りつける。
2、角を切られても習性は変わらず、同じ行動をしていると思われる。
3、よく擦る木とそうでない木があるのは鹿にも好みがあるのか?
4、同じ松の木ばかりに集中しているのはよほど気に入っているのだろう。
5、なお、発情期の雄鹿は首あたりを木に擦りつけて匂いを付けたりもする。
・・・というものだった。
驚くほど突拍子もない回答ではなかったが、疑問が解消されて気分がよくなった。
それにしても、その松の変形具合は尋常ではない。
寺社や博物館だけでなく、そんな自然界の「偉大さ」にも多くの人が驚いてほしいような気がする。
ところが、以前に若草山にモノレールを建設しようとした奈良県知事は、今度は奈良公園の浮見堂の南にリゾートホテルを建設しようとしている。
「国指定の名勝」であり、「文化財保護法」や「古都保存法」に基づいて「歴史的風土特別保存地区」に指定されている厳しい規制地域には本来一切の建造物を構築することは認められず、「奈良市風致地区条例」によって「第一種風致地区」に指定され、一切の商業施設の営業は認められていない地域でもある。
そこへムリヤリ部屋数20数室のホテルを建てて奈良の経済がどうなるというのか。
それよりも、自然や伝統に畏敬の念を払ってもらいたいと私は思う。
この問題については後日本格的に書いてみたい。
このホテル建設反対の署名はネットで検索できる。
底冷えの古都にざわめく驕り声
底冷えの古都にざわめく驕り声
このブログで昨年半年間追っかけてきたモリアオガエルの池のある吉城園もホテルにしてしまう作業が進んでいる。奈良公園のモリアオガエルは絶滅の危機に瀕している。「奈良公園のモリアオガエルを守れ!」と私は言い続けたい。
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