2013年3月1日金曜日

右と左

夏ちゃんの好きな「くつ」
  (1) 2月13日に雛飾りのことを書いた。
  私の娘が誕生した昭和の御世に義父母が買ってくれた結構オーソドックスなものである。
 一応「京風」となっているが、調べてみると「関東風」のところもあり、いわゆる「標準」なのだろう。
  箱には、人形たちと一緒に「飾り方」の冊子が入っていたが『男雛がこちらに向かって右』(こちらから向かって左)となっていた。
  昭和以降の主流はこうらしいが、そもそもが“平安の御所(宮中)の再現である雛飾り”と考えるなら(諸説あるが)当然おかしい。もちろん私は左に飾った
  蛇足であるが、それぞれの上席にあたる三人官女の長柄銚子、五人囃子の謡い、随身の左大臣または左近衛中将(長老)は冊子からして左のままである。当然だと思う。だから、この冊子自身が論理的統一性を欠いている。(なお、「京風」の中には男雛を左に飾るのもあるにはある。)
 男尊女卑を肯定しているわけではない。御所を全く超越した現代雛なら文句もない。女雛が上席だって文句はない。
 ただ、明らかに「平安宮」を装いながら戦前の天皇制に媚を売っているところが嫌らしい。
 
  近頃、「維新維新」とはしゃいでおられる方がおいでだが、この雛飾りは、明治維新から敗戦までの近代日本が文化の上からは極めて乱暴で無知な一面を持っていたことを思い起こさせる。
  繰り返すが、現代の標準マナーが右になったことをおかしいなどと言っているのではない。平安の再現を無茶苦茶に捻じ曲げていること、嘘をついていることが問題だと思っている。
 だから私などは、「維新」と聞くとどうしても乱暴な嘘つきというふうに連想してしまうのである。
 「憲法9条をすぐに変えようというのではないが憲法改正要件だけは変えよう。」という主張も同じことのように感じている。

 (2) 孫の夏ちゃんが一番好きなのは、「泣き上戸」の持つ沓台である。そして五人囃子の太鼓である。
 指さして「くつ、くつ」「たいこ、たいこ」と自分も「知っているんだ!」というアピールをしてその「発見」を嬉しがる。
 そして、人形よりもいろんな道具類を「これは?」「これは?」と知りたがる。
 盃も銚子もお膳、箪笥、重箱もみんなままごとの感覚で、その発見を楽しんでいる。
 しかし、槍や弓や火鉢はイメージできないようだ。此方の説明も難しい。針山・絎(くけ)台がヒュっと伸びた針箱なんか私の娘でも実物を覚えていない(判らない)のではないだろうか。
 夏ちゃんは雛人形そのものにはあまり興味がなさそうで、お雛様よりも「いないいないばあ」の「わんわん」の人形の方を喜んでいる。

2 件のコメント:

  1. 母と叔母が空襲から守るためお雛様を背負って満員の汽車でやっとの思いで避難させてくれたました。背中でガラガラ音を立てていてお雛様の鼻は大丈夫かなと心配しがら必死の思いだったそうです。お雛様の顔は無事でしたが御殿の飾りが外れていたりして祖父が「そっくい(ご飯粒をヘラでつぶした糊)」で直してくれました。お雛様やお道具を入れている箱で雛壇を作り、御殿を組み立て三人官女や右大臣左大臣・五人囃子に泣き上戸・怒り上戸お道具を並べたことなど懐かしく思い出しました。

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  2.  yukuriさん コメントありがとうございます。
     「お雛様の疎開体験」とは歴史書の世界ですね。人生の参考になります。
     そして「御殿」ですから屋根のある形ですね。今はどうなっているのですか。存続しているのなら、近頃は『町屋の雛祭り』のようなものが流行っていますから、そこの目玉になりそうですね。

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