2025年12月5日金曜日

12月4日のテレビを視ていて

    長い間、ほんとうに何十年もの間も、朝は時計代わりにABCの「おはよう朝日です」をつけているが、だいぶ以前からニュースの解説の切れが鈍っていて面白くなくなっている。 
 つまり、政権が発表した説明のスピーカーに思えることが多い。
 12月4日の朝日新聞朝刊のトップ記事は、「旧姓の通称使用法制化へ」「首相私案軸に」「別姓導入機運失う恐れ」で、早い話が「選択的夫婦別姓制度導入潰し」の指摘があったが、テレビでは、「通称使用に法的根拠が出来てよい」とか「別姓では親と子の姓が異なって家族の一体感が喪失されるという意見もある」などと、政権にすり寄っているような解説が続いた。特にメーンのアナウンサー。

 これについては、「国際的に活動されている女性の学者や経営者からも切実な要求がある」「選択だから選択しない者には影響はない」「現にアイデンティティーを尊重したいという要求もある」という現実を顧みず、「虎に翼」で指摘があったような「結婚した女性は無能力者」とした家父長制を目指すものでよいのか」というまともな指摘がテレビからは聞こえなかった。
 そんな中、コメンテーターのレイナさんにアナウンサーが振ったところ、レイナさんは「うちは国際結婚ですから別姓です」と当然の回答。それならメーンアナ、それまでの解説の流れからすれば、「それは大変で子どもが可哀相ですね」と言ったらどうか?!!
 世界中で夫婦同姓を法律で縛っているのは日本だけだとか。
 世界中で家庭は壊れているのだろうか。
 この番組、近頃解説の切れが鈍っているというよりも、長いものに巻かれようとしていませんか? レイナさんは堂々としていた。

2025年12月4日木曜日

謎の円墳見学会

    奈良市の富雄丸山古墳見学会に参加した。
 時代は発掘された須恵器の年代測定等から4世紀後半、ということは百舌鳥古市古墳群築造の前夜。
 場所は後年の難波の津から大和に向かう暗峠(くらがりとうげ)越え奈良街道で奈良盆地に入ったところ。北東には遠くなく佐紀盾列古墳群があるので同古墳群の西の端と考える説※もある。
 日本最大級直径109mの円墳で前方後円墳ではない。
    近年墳頂部ではない「造出し(つくりだし)」部分から割竹形木棺、世界最大の蛇行剣(だこうけん)や前例が知られていないような鼉龍文盾形銅鏡(だりゅうもんたてがたどうきょう
)、さらに3面の銅鏡などが発見されている。
 墳頂から西を向くと生駒山(暗峠)、東を向くと若草山が望め、古墳の立地条件としては特等席に感じられる。
 造出し部分は形を留めていて、パンフレット等で見た出土品の出土状況がリアルなほどに想像できた。埴輪の破片や葺石も積み上げられていた。
    出土品の整理や墳丘の復元などが完成するのは10年以上先と思われるから、頭の中でバーチャルメガネのように組み立てておこう。

※ 「佐紀盾列古墳群の西の端」という説には魅力を感じている。その訳は、
1 北北西直線距離2.5kmのところに添御縣坐神社があり、この辺りは添の縣の可能性がある。
2 佐紀盾列古墳群の一画にも添御縣坐神社がある。
3 佐紀盾列古墳群の古墳は大王クラスの古墳群である。
4 富雄丸山古墳は最大の円墳である。
5 主要である墳頂ではない造出しから出土した銅剣や銅鏡は類例のない立派なものである。
6 これらのことから、単なる有力首長(豪族)以上の人物が墳頂に埋葬されたと考えられる。



2025年12月3日水曜日

ニッポン辺境を思う

    「中央アジア紀行」
著者の白石あづささんがカザフスタンの首都アスタナに行ったときの話。アスタナは1997年に遷都した若い首都で、高層建築や世界中の名建築まである、まったくの未来都市らしい。
 この都市を設計したのが故黒川紀章氏で、その中にある、まるでリゾートホテルのような広大で立派な大学の初代学長は勝茂夫氏(元世銀副総裁)だという。
 そして著者が「意外だったのはこの街を設計したのも有名大学の学長も日本人、同じ国の人が活躍しているのは嬉しいですね」とカザフツーリズムの女性社員に言うとケタケタと笑われたという。
 彼女の言うのには、「私たちは普段173の民族とともに暮らしています」と、同胞である「日本人」の活躍に喜ぶ私の方がおもしろいらしい。
 では国ではなく民族がアイデンティティーなのかと聞くと、「そういう感覚は私たちにはないですね」と首を傾げた。
 他民族が好き勝手に移動したシルクロードの面目躍如と言ったところだろうか。
 そしてそれは世界の例外ではなく、どちらかというと、日本列島こそが「地球儀上」の例外つまりは「辺境」ではないかと大いに考えさせられた。
 「中央アジア紀行」という一冊の本や、白石あづさという一人の人間の感想を絶対のように語るのは正しくないだろうが、何かハッと考えさせられるレポートであった。近頃のネット上のヘイトスピーチを思って、なぜか恥ずかしくなった。

2025年12月2日火曜日

日中経済のリアリズム

    ネットの世界やテレビのワイドショーなどでは「中国に舐められるな」「中国は明日にでも攻めてくる」みたいな発言が目につくが、一方、テレビの普通のニュースを見ていると、イオンが中国内陸部
湖南省の省都長沙市に大型ショッピングモールを開業したことを報じていて、映像では、混乱などなく大勢の地元客が買い物や食事を楽しんでいた。
 共同通信によると、新店は「イオンモール長沙湘江新区」で、延べ床面積は236千平方メートル。「ユニクロ」や「無印良品」といった小売店に加えて、映画館やアミューズメント施設などを誘致し、一日楽しめるよう工夫した。長沙では夜間の消費活動が活発で、未明まで営業する一角も設けた。・・ということらしい。
 映像の限りでは、日本では珍しいほどの充実ぶりだった。
 もちろん日本と中国との経済関係では多くの競争・競合もあるが、このように切っても切れない隣国同士である・・・ということを直視することがリアリズムで、歴史の時間でいえば一時(いっとき)の格差を鼻にかけて、仲間内のウケを狙ってエラそうにふるまうのは小児病だと私は思う。
 自国を卑下する必要はないが、夜郎自大は見苦しい。

2025年12月1日月曜日

品種改良

    キュウリは「
黄瓜」が語源だという説もあるが普通には「胡瓜」とされている。
 古く中国ではシルクロードに関わることごとを「胡」と言ったので、胡とはペルシャだと言い切るのは正確ではない。
 事実、キュウリの故郷はインド北部からネパールのヒマラヤ地方らしい。
 そういえば暑さにもけっこう弱く、7月中に枯れさせたことも何回もある。それが今年は8月にもけっこう収穫できたのは苗がよかったのか、風通しに気をつけた農夫(私)がよかったのか?
 その8月下旬に「11月にも収穫できる」と書いてある苗があったので一つだけ植えてみたところ、写真のとおり11月30日現在も実ができている。まだ小さな実がいくつかできているが大きくなるかどうかはわからない。
 本には「13℃以下になると著しく生育不良となる」と書かれている。
 それにしても、露地でキュウリが12月に採れるとは思ってもいなかった。品種改良のおかげだろうか。 

2025年11月30日日曜日

初忘年会

    日本経済を支えておられる勤勉な皆様方には申し訳ないが、先日は昼間から今シーズン初の忘年会に参加した。 
 集合はいつもどおり奈良の行基菩薩前。
 そこでの印象は、見事に普通の観光地に戻った普通に賑わった人通り!
 ひと月に最低1回は奈良を訪れている実感からすると、少なく見積もっても半分以下に減っていた。いやもっと少なかった。
 京都あたりではインバウンド公害が少し解消してよかったなどという声も噂では聞かれるが、奈良に限っては観光関連業界へのダメージは小さくはないだろう。
 それもこれも「奈良の女」とのたもうた首相の責任。中国人観光客の激減。
 おかげで?東向き商店街も普通に通行できたし、有名な餅つきの店の前の渋滞もなし。
 近鉄駅の女性トイレも・・・・といってもここはけっこう外まで並んでいたが。
 「この程度でよいから奈良で一泊してくれたら」というのが算盤上の願いらしいが、ほんとうに夜のお店は少ない。これには我われ飲み助も不満がある。
 宗教都市であって観光都市、さてどうしましょう。
 「では好いお年を!」と言って楽しく別れたまだ11月。

2025年11月29日土曜日

熊鈴つけて

    先日は紅葉の箕面の滝道にハイキングに出かけた。
 ズーっと昔のことだが、この道にも猿が頻繁に出没していたときがあった。
 猿には相当な知恵があり、弱そうに見える女性や子どもを襲い、カバンの中のお弁当やお菓子を取り出して食べていた。乱暴狼藉という感じであった。
 私はそのとき捕虫網を持っていたからそれを振り回して何人かの人々を助けてカバンを奪い返した。
 滝から先、勝尾寺に向かう道の柵にはさらに屈強そうなボス猿などが睥睨していて、睨みあいになったときには相当な迫力だった。睨みあいになってからは変に弱気になると襲われるのでチキンレースのようなこととなった。私も若かったからとりあえずは負けなかった。ただ正直恐怖感はなくはなかった。
 箕面にそういう状況が生まれた最大の原因は行楽客の些細なエサやり行為だったので、エサやり禁止の徹底と職員?が棒をもって猿を山へと追い返して現在のように安全なハイキングコースになった。
 昨今の熊出没の教訓になるだろうか。

2025年11月28日金曜日

QRコード作成に苦労する

    以前に全く同じ右往左往をしたが今般も動画をQRコードにするのに悩んだ。
 年賀状にQRコードを埋め込んだり、それ以降も何回か作ったことのある作業だが、悲しいかなその手順を思い出せない。
 ずっと昔にはもっと簡単にできていたように思うが、ネット世界でいろんな不正が起こったことで難しくなったのかもしれない(ただの想像)。
 簡単だったアプリをよう探さなかったからかもしれないが、とりあえず現在一番簡単そうなアプリは「動画のURL」を元にQRコードを作成するというもので、とりかかってみようとしたが、動画にURLを付ける・・動画のURLを見つけるという初期の段階で引っかかってしまった。さて以前はどうしてURLを付けたのやら。
 結局解らないのでPCのビデオに保管しておいた動画を You Tube の「+作成」で呼び出して、その作業で生まれたURLをQRコード作成アプリに使って作成した。
 もっと簡単な方法があるかもしれないが、今のところはこれで我慢しておくことにする。
 そんな作業のために友人から送ってもらった動画(のQRコード)を掲載する。これは箕面の昆虫館。

2025年11月27日木曜日

紅葉は箕面の滝

 
    秋の三連休の直後のウイークディなのに、予想に反して箕面の滝道は行楽客でいっぱいだった。
 事実、帰りにモミジの天ぷらを購入しようとするとどの店も売り切れで驚いたが、もしかすると少し前のテレビ番組で紹介されていたせいだろうか。それとも・・・
 抜け目のない我われは歩き始めの朝にゲットし証拠写真もパチリとして、シャッターを押していただいたご夫婦にもお裾分けをして喜んでいただいた。手に持っているのがモミジの天ぷら。
    途中美しい紅葉にたびたび出くわしたが、それは当然のことだったので報告はスルー。
 下山後箕面駅の相当先(滝の反対側)のお店で無事の下山を祝って祝杯を挙げたが、そこの店主の曰く、昨夜はこの辺りまで煙やすすが飛んできて大変だったとか(滝のすぐ横の茶店が全焼したのだった)。
 山を越えてきたハイキング本隊の強者とは滝で合流したが、その強健ぶりには脱帽。
 珍しい元気な報告でチャンチャン!

2025年11月26日水曜日

首相のホンネは

    2020年の学術会議会員任命拒否事件の際多くの学術団体が抗議声明を発表したが、主として奈良時代以前の文学を研究する「上代文学会」の抗議声明は次のような文章で閉じられていて非常に印象的だった。
 『前政権(安倍政権のこと)以来、この国の指導者たちの日本語破壊が目に余ります。日本語 には豊かなコミュニケーションを担う力が十分備わっているのに、見せかけの形式に空疎な内容を盛り込んだ言説が今後も横行するなら、日本語そのものの力が低下してしまいます。日本語の無力化・形骸化を深く憂慮します。頼むから日本語をこれ以上痛めつけないでいただきたい。』
 さて、この22日、23日に毎日新聞が世論調査を行ったが、内閣支持率が56%と高いまま、台湾有事発言も「問題ない」が50%という結果を見て、「日本語そのものの力の低下」を感じるのは私だけだろうか。
 いわゆる台湾有事発言は、自衛隊への出動命令権を持つ首相が、台湾南部の海上で戦争状態が生まれれば自衛隊員に派遣命令を出し、人の殺し合いを命ずるというのが「存立危機」という言葉の本質である。
 アメリカの戦略国際問題研究所のシミュレーションでは、いわゆる台湾有事の際、米軍に10,000人の死傷者が出、中国軍に22,000人の死傷者が出るとしている。その場合、自衛隊員だけが死傷者0人ということがあるだろうか。
 もっと言えば、在日米軍基地や自衛隊基地からミサイルでも発射するなら、海外線に50基もの原発を並べたこの国の国民は無傷でいられようか。・・目を覚ませ!
 ことの本質は、これが日本国憲法の三大基本原則・国民主権・平和主義・基本的人権の尊重、という下で放った首相の国会答弁であることだ。
 他国への敵意と熱狂をあおり、自身の「強さ」を表現して支持を集めようとする政治の向こうには破滅が待っているというのが歴史の教訓だ。

2025年11月25日火曜日

USB-HDD

    20数年前に購入した古いテレビなもので外付けの録画機器(ハードディスク)を使っている。USB=HDDだ。それが突然上手く動かなくなった。 孫の凜ちゃんのためにEテレの「にほんごであそぼ」がいっぱい入っていたし、今後も録画してやりたいから、この不調は大変なことになった。
 その機器が悪いのか、ケーブルが悪いのか、それともテレビ本体が故障したのか、あるいはちょっとした接続不良なのか解らないが、なんとなく機器本体らしいと感じたので家電量販店に行ったところテレビの機種によって機器が変わるということで出直した。
 そうしてようやく購入した機器を家でセットしたが思うような表示がされず録画もできなかった。店員は画面の表示に従えば接続できると言っていたがそれらしい表示が出ない。
 20数年間放ったらかしのテレビの裏や、昔々いろんな機器を接続したコードを眺めても、もう何もかも忘れていて解らない。
 あれやこれやした後、テレビ側のそれらしい箇所を見つけ、ようやく初期化にたどり着きやっと復旧したが、正味半日仕事であった。妻は「業者に頼らずようやった」と褒めてくれたが、私としてはなんとなく歳を感じた一日だった。

2025年11月24日月曜日

軽み

    五木寛之著『遊行期』に"なるほど”と感じた部分があったので記録しておく。
 🔳 蓮如の言葉の中に「人は軽(かろ)きがよき」という名言があります。年をとるにしたがって重厚にゆったりしていく、という老化の道もあるでしょう。けれども、最後まで軽薄なぐらいにちょろちょろしている。それも一つの望ましい老化のあり方ではないでしょうか。
 ちょっとC調なぐらい軽やか。これはすごく大事なことだと思います。
 日本では「あの人は貫禄がある」とか何か重々しいほうがよしとされるけれども、私はむしろC調、軽薄のほうを大事にして生きてきました。
 ・・・周りと調和しているボケ。そういうものに達するためには、それなりのこころ配りや努力が必要でしょう。
 それを強制や義務感でなく、楽しみながらおもしろがってやっていく。そのためにも「重さ」ではなく「軽さ」が大事だと思うのです。🔳
 昔大先輩から「芭蕉晩年の俳句の好さは軽み(かろみ)だ」と教えられたが、そうなのだろう。・・てなことを書いているうちは軽くはない。ハイ。

2025年11月23日日曜日

喪中はがきの季節

    木枯らしとともに喪中はがきの季節がやってきた。
 古代ギリシャの哲学者は「万物は流転する」と語り、釈迦は「諸行無常」と喝破した。とはいえ別れは辛く悲しい。
 鬼子母神は一説では500人の子がいたがその末子一人が居なくなっただけで半狂乱となった。それほどに別れは辛い。
 それぞれの喪中はがきの差出人にお悔やみを申し上げたい。

 さて、喪中はがきの中には「君の賀状は励みになるので気にせず送ってくれ」というのがあった。お世辞にしても嬉しいので、例年どおり投函しようと思う。

 12月になると新聞の投書欄に「年賀状は直筆がよい」というような投稿があったりする。悪筆の私には耳が痛い。
 思うに、印刷であろうが直筆であろうが手段なのだから、要は心を込めて作成すればよいと思う。
 実際戴く年賀状は、随筆風、版画、絵手紙風、写真等コラージュ、文芸作品等々多様で楽しい。決して虚礼などとは思えない。

2025年11月22日土曜日

百戦錬磨

 
    松下憲一著『中華とは何か――遊牧民から見た古代中国史』(ちくま新書)を読んでいる。相当以前に読み始めて未だ読み終わっていない。そんなに難しい本なのかというとそうではなく、私は通常2~3冊を併行して読んでいるが、いつ読んでも面白い本は後日電車の中ででも読もうと読むスピードが遅くなるためだ。

 もちろんこの本は、現代進行形の高市首相の舌禍事件とは関係ない。
 とはいうものの、変にリンクしていて感心している。
 それは「外交」ということで、中原(ざっくり言えば中国中心部の平原)にも多くの王朝が並立したし、その外には、匈奴(きょうど)、鮮卑(せんぴ)、突厥(とっけつ)、契丹(きったん)、女真(じょしん)、蒙古(もうこ)、満州(まんしゅう)、・・西方には烏孫(うそん)、ウイグル、ソグド、・・・きりがない。
 つまり、中華の王朝は、戦争をし、和解し、姻戚関係を結び等々と数千年の間外交を展開してきたわけである。

 翻って日本の歴史を外交(の記録)にフォーカスして思い出してみると、百済や新羅を中心とした外交以外に見るべきものがない。海によって隔たれた島国という地勢が決定的であった。
 ということで感じることは、たかが明治以降の夜郎自大の時代を懐かしむ安倍チルドレンの「外交」などは、大陸の群雄割拠にもまれた彼らから見ると赤子に見えはしないかと・・・
 以上は、単なる個人の感想だが、現政権の幼稚さ加減には悲しくなる。