2019年、一年の計に「短歌に挑戦」と心に決めてその6月、ビギナーズラックで「しんぶん赤旗」鈴木英子選に採ってもらったのが『こんな日に限ってどんより曇り空 腫瘍マーカーDの通知書」だったが、これは只々「D=癌の宣告」に「どんより」「ディの」のというDの韻律が、結果として韻を踏んでしかもその韻がテーマの重さと重なっていたことによるものだった。(ただし最終的には癌ではなかったが・・)すべては結果論。
つまり短歌についての私の理解(知識)は「五七五の短詩」以外のナニモノでもなく、また勉強もしないまま今日に至っていた中、先日、書店の書架に写真のような本を見つけたので、一度読んでみても悪くはなかろうと手を伸ばした。
編者の上野誠先生が奈良大学におられたとき公開授業に何度か出席させていただいたという近しい感情と、読者に媚びたようなハウツーものではなく本格的に短歌を論じている点や、考察がネット短歌にまで及んでいることに興味が湧いたからである。
実際、今の私は、師を見つけ、師事し、結社に入り、歌会に参加しようとは思っていない。歳は大ジジイだが若者のネット短歌の軽さがいいと感じている。そんな私だが、この本には引き込まれた。
もっと若い頃にこういう世界に近づいていたならばとは年寄りの愚痴でしかないが、結果、もっともっと知りたいことが山のように出てきたので、これでは退屈している暇もない。
以下に目次だけ記しておく。
・短歌の過去、現在、未来 ・歌を作る ・歌を歌う ・歌集を作る ・歌を批評する ・ネット空間の中の短歌 ・短歌の笑い ・教科書のなかの短歌 ・祭礼のなかの短歌 ・新聞、雑誌のなかの短歌 ・結社のなかの短歌 ・歌会の進め方 ・地域と短歌を結ぶ ・小説のなかの短歌 ・戦争と短歌 ・光源氏の女歌 ・近世社会のなかの短歌 ・能と短歌 ・中世社会のなかの短歌 ・仏教と短歌 ・古代社会のなかの短歌 ・対談、さまざまな短歌