2025年9月30日火曜日

星は昴

    「視角を変えると」と昨日書いたが、夏の星座とか冬の星座というのも同様で、歳をとると夜は出歩くこともなく、朝は未明以前から起き出したりして空を見上げることがある。
 先日来、その暑く寝苦しい未明の南の空には「冬の星座???」オリオンが輝いている。
 清少納言は「星はすばる(プレアデス星団)」と記したが、それはオリオンの三ツ星のベルトを右に延長しアルデバランのさらに先にある。
 実際には120個の星の群れというが、乱視の私にはぼんやりとしか見えない。そもそもが明るい星(星団)ではない。
 「いくつの星が見えるか?」というのが遠国の視力検査であったというが、ギリシャ神話では7人の姉妹、アイヌの神話では6人の娘となっている。おまけにアイヌの神話では3人の若者が娘を追いかけているからよくできた話である。
 言いたいことは、「冬の星座」というのは宵空を前提としていて、誰も夜中の3時や4時に空を眺める爺さんなど考慮していないだけということ。
 勝手に星空は宵に観るものと決めつけるな!

2025年9月29日月曜日

リフレクター

    立ち位置を変えるとハッとすることがある。そんなひとつ。
 わが街は少し離れると農村で、街灯も少なくなる。
 そこを夜間クルマで走っていると高齢者が黒っぽい服のまま散歩していたりする。
 不遜かもしれないが「轢かれたいのか‼」と声を出したくなる。
 「歩行者優先が大原則じゃ」との主張も車に轢かれてからでは遅い。
 
 私は、最寄りの駅から自宅までは遊歩道で帰れるが、自転車は少なくない。
 大阪で飲んで帰る日には私も自転車の人に「轢かれたいのか‼」と思われていることだろう。
 少し前までは「自転車ぐらいヒョイとかわせるわ」と自惚れていたが、今は正直自信がない。
 そこで昔母親が老人会でもらってきた反射板のタスキでも・・というのはちょっと! で、
 モンベルでセーフティーリフレクターという反射板のチャームを買ってきた。いろいろあったが雷鳥にした。遭難した時に見つけやすいということらしい。
 もうホンモノの雷鳥にお目にかかれるような山にも登れないから、これぐらいで遊んでおこう。 

2025年9月28日日曜日

吾亦紅(われもこう)

    選挙に乗じて日本人ファーストなるヘイトスピーチが喧伝されている。
 その上に、現行のSNSの害悪の一つには、話題に乗れば小金が稼げるというシステムもある。
 社会を分析されている関学の冨田先生によると、現状に不満を抱きながら真の原因が見えていない若い男性の層は、かくして、敵は・・年寄り、女、外国人というキーワードに惹きつけられているという。
 旧統一協会や神社本庁周辺からは、早速、さあ夫婦同姓だ、スパイ防止法だ、はては憲法改正だとはしゃぐ声も聞こえてくる。
 そんな時代背景があるから、この花、吾も亦(また)紅という名前は爽快だ。文句があるか。
 何の科学的意味もないが一人笑っている。

ラビットフット

    息子がやって来て「お父さんのウサギの爪、おくれ」と言ってきた。
 「ウサギの爪」はネイティブアメリカンのお守りの一種で、1950年代後半ごろ、〽四葉のクローバーもウサギの爪も 僕には用がないあなたがいるから・・という日本語カバー曲があった(この曲の題名などご存知の方は教えてください)。
 そんなものでズーっと昔からウサギの爪(ホンモノ)のキーホルダー(ストラップ?チャーム?)をキーに着けていたが、それを「おくれ」と言ってきたのだ。アメリカの小説でも読んで興味を持ったのだろうか。
 「長い間お父さんを守ってくれたんだからもういいだろう」とは殺し文句。
 で、即息子に譲り、代わりに私のキーは「お水取りの糊こぼしの椿」のストラップにした。

 ウサギの爪は、欧米では有名なラッキーアイテムらしい。
 ウサギは、地下に穴を掘って生活をするので地下の精霊と交流していると信じられていた。
 さらにまた、ウサギは多産であることや、産まれて来るときに目を開けたままで産まれる事から 子宝祈願・安産祈願のお守りとして持たれたり、目の病気にも良いという言い伝えがあり古くから大切にされてきた。 
 さらにさらに、満月の夜に左のポケットに入れておくと、更に幸運が訪れるともいわれている。
 おまけのおまけでは、その脚は、災厄から「脱兎のごとく」逃げおせるからという話まで付いている。

 ウサギの爪さん、今度は夏ちゃんファミリーを守ってやってね。

2025年9月27日土曜日

秋が来た

    四季の登場を振り返ってみると秋の登場ほど判りやすいものはない。
 前線が南下した途端に秋が来る。
 まだまだ暑い空気も残っているが、夜間のクーラーは不要になった。
 この間までは掛布団(夏用)さえ不使用だったが、先日は夜中に掛布団を手で探した。
    猛暑の間は昆虫さえも姿を消していたが、秋とともに少し世間が賑やかになってきた。
 彼岸花にはクロアゲハが舞うようになった。
 その近くにはサナエトンボがいた。
 私の頭の中も、冬野菜の植え付けと、野菜周囲の草花の種まきをどうしようかなどと回転し始めている。

新聞減少の理由

    22日、23日などに「若者が新聞を購読していない」現実に触れたが、その主たる原因をSNSの浸透にあるかのように言い切るのは、分析としてはいささか不十分だろう。
 同じようなブログでも触れたが、G7の中でも日本だけが実質賃金が低下している。経済の統計でいうと、労働分配率が極端に低下している。早い話がZ世代だとかいろいろネーミングがあるが、日本の若者の賃金が安すぎる。当然に未来に希望が見えない。長い間それは自己責任だという呪文で蓋をされてきていたが、さすがにおかしいとなった矛先が、高齢者が、女性が、外国人が、・・優遇されて「われわれ」は割を食っているという「呪文」に取って代えられている。
 麻薬中毒でもない普通の若年労働者が貧困にあえぐというのは世界中の例外でおかしいことだと、世界中からも指摘されている。
 そういう下で、若い人々はいろいろ節約を凝らしているが、その節約の第一グループにリストアップされているのが新聞購読料である。
 その結果が、まわりまわってSNSで極端に拡散された、年寄りが、女が、外国人が、で広い意味では本質的理解を妨げられているのだから、踏んだり蹴ったりというべきか。
 若者の貧困の解決は喫緊の課題である。
 そのことを訴えるためにはSNSも大事である。
 わが街の80歳を超えるリベラリストたちもライングループを作った。

2025年9月26日金曜日

則ち罔し

    子曰、学而不思則罔、思而不学則殆〈子曰く、学びて思わざれば則ち罔し(くらし)、思いて学ばざれば則ち殆し(あやうし)〉との言葉がある。一般に「思わざれば」は「自分自身で考えなければ」の意と解されている。異議はない。
 ただ昨今の情報化社会の中で私のような凡人は、その「考える」の中に、「共感」と言ってしまえば軽くなるが、「感じる」ことがとても大切ではないかと自分自身振り返って感じている。
 例えばガザ。ガザの庶民が地獄の苦しみにあるという情報、それがアメリカの支持するイスラエルのネタニヤフ政権による軍事侵攻の結果であるという事実などについては多くの日本国民は知っているし、イスラエルは侵攻を止めよと考えている。と思う。
 ただその「地獄の苦しみ」を多くの日本国民は、自分の家族や友人と同様程度に≪感じて≫いるだろうかと思ったりしている。
 ウクライナもある、ウイグルもある、アメリカ国内の弾圧もある。そのすべてに「共感」していたら精神が持たないという反論もあるだろう。
 だが現在、少なくない日本国民に欠けているのは学んだ情報の中の理性や正義感に素朴に感じる感情ではないかと思ったりする。どうだろう。

2025年9月25日木曜日

リトルトーキョー

    NHK
の「新日本風土記」でロスアンゼルスの「リトルトーキョー」をリポートしていた。
 参政党や国民民主党的排外主義でいうと「英語も話せない日本人は出ていけ」と言われるのだろうか。もちろんロスアンゼルスの現実はそうではないので安心した。
 もう一つ、主に日本人向け高齢者アパートが紹介されていた。老人ホームのような機能を持っているようだったが、立派なマンションという風だった。
 それに比べて日本の老人ホームはどうだろう。かつてジャパン・アズ・ナンバーワンと言われた時代があったが、自民党や維新によるアベノミクスとやらで高齢者福祉が目の敵にされて置いてきぼりにされてきた。
 普通の政治が継続しておれば、日本の高齢者福祉もこのようになっていただろうに。
 日本ではそのアベノミクスの残党たちが総理・総裁のために暗躍している。テレビを見終わってからため息をついた。 

2025年9月24日水曜日

ルビが読めない

    漢字の振り仮名のことをルビという。
 かつて標準的であった五号活字の本文の振り仮名に使用されていたのがサイズの小さい七号活字で、イギリスで活字の大きさを宝石名で呼んでいたときの「ルビー」の大きさに近かったため「ルビ」と呼ばれることとなったとか。
 戦前から日本人の識字率が高かったのは、子どもたちがルビ付きの立川文庫で猿飛佐助などを読んでいたからだという文を読んだことがあるが、大いに納得した。
 新聞も含めて戦前の文章にはルビが普通に見られたが、どういうわけか戦後はルビが少なくなった。私はルビ賛成派だ。
 ただ近頃は、七号なのかルビーなのかは確かめていないが、あの小さな文字が読めなくなって困っている。
 そこで私自身このブログ記事などでは漢字のすぐ下(横書きはすぐ右)に()としてルビを入れているが、実際、ルビなのか注記や言い換えなのか判りにくいという難点がある。だいたいがGoogleのBloggerで作っているこのブログ記事には振り仮名の設定すらない。
 しかし、ルビなのか注記や言い換えなのかはほとんどの場合常識的レベルで判断できるから、本文の少し珍しい漢字の下(右横)には()をつけてルビを入れてほしいと願っている。若い人の人名などは絶対にそうしてほしい。
 ルールどおりの小文字では小さすぎて読むのに苦労する。高齢者の切実な声である。賛同者はおられませんか?

2025年9月23日火曜日

新聞紙は大事だ

    昨日のブログ記事で「若者は新聞を読んでいない」ことに触れたが、新聞協会等の発表でも大手新聞の発行部数は、2000年に比べて昨今は半分以下になっていて、識者?は10年後には10分の1になると指摘している。 
 思うに、これは新聞だけでなく活字文化全体の危機かもしれないと、相次ぐ書店の閉店ニュースを見ながら、日本人の未来を私は心配している。
 ガンバレ、オールドメディア!

 9月22日、そんな新聞の一つである朝日新聞に「朝日歌壇 番外地」というのがあった。
 朝日歌壇に寄せられた中で、選には漏れたもののユーモアあふれる秀歌を年に1度紹介する「番外地」なのである。
 新聞の楽しい解説を割愛して短歌だけを紹介すると・・、
 啄木をブタギと読みて嗤われし吾も年老いてじっと手を見る 清水基義
 「生(い)きくらげ」こりゃまたなんとよく見れば「生(なま)きくらげ」が売られています 太田千鶴子
 新札はつばめのように飛んでゆくアスリートだったか渋沢栄一 斎藤哲哉
 店員に一生ものと勧められ九十三の義母涙ぐむ 山木海絵子
 父親はよく自らの病名をキーパーソンと自慢してた 脇本俊雄
 張り紙に「手のひらほどのクサガメが逃げました。めちゃくちゃ無口です」 佐々木ひろみち
 選にもれ捨てられてゆく歌たちに供養塔などないのだろうなあ 松井徹朗
 母さんが「暇な人ら」と言っていた朝日歌壇にわたしもいるよ 高寺美穂子

・・・そこで最後に、今日のテーマと重なった秀歌を紹介。私ならこれが一席。
 「新聞を取っていない人がいるそうね。天ぷらはどうするのかしら」と叔母 上田結香
 活字文化の心配も失望も忘れて笑ってしまった。

2025年9月22日月曜日

できることをする

9
20日にYouTubeの 『自民党沈没 参政党躍進 ショート動画が動かす選挙 冨田教授』という講義?を紹介したところ、友人の弁英さんから、『このビデオを見ての感想は「若年層を目覚めさせない」と日本の将来は暗いということですね。若年層の男性を目覚めさせるにはどうしたらよいのでしょうか。やはり、SNSの活用ということになるのでしょうか』というコメントを戴いた。
 さて、動画のほんとうの最後の最後に『NHK世論調査2025812日:今の支持政党』の一覧表が出た。ひとつの資料ひとつの世論調査を絶対視するものではないが、なかなかに面白いものだった。例えば・・
 女性の支持率は、自民30.8、立民5.3、共産3.8、参政3.6、維新3.4、国民3.2、公明3.2、れいわ2.8、・・
 共産の年代別支持率は、80歳以上で7.4に対して40506070代がそれぞれ2%台であるが、18歳~39歳で4.0で、この層では、国民19.4、参政16.1、自民10.5、維新4.8、共産4.0、立民2.4、公明2.4、・・であるから、男女を含めての場合、まんざら若年層に届いていないわけではない。問題は男性。
 だとすると、私のような高齢者は、同じ境遇で同じような要望を抱えている6070代ともっと対話しようかと思う。
 同時に、弁英さん指摘の『若年層の男性』は、少なからず新聞は購読していない、テレビのニュースもあまり見ない、情報はもっぱらスマホに流れてくるSNSの「ニュース」を信じているという事実は紛れもない現実であるから、例えば、我われの目からして大切だと思われるSNSの情報には、例えば高評価のチェックを入れたりシェアをすることが大切かもしれない。
 同時に、前述の講義?でも明らかなように、SNS戦略のプロ、その企業?、その制度に乗っかって小金を稼ごうとする者たちが蠢いている真実を繰り返し≪SNS上で≫語っていかなければならないように思う。
 先日の退職者会会報に「OB会病気自慢は禁句です」という川柳を投稿したが、K先輩は、「歳なので」断わるときの常套句 と投稿。それぞれ得意分野で声を上げ続ければよいのではないだろうか。

2025年9月21日日曜日

パレスチナの悲劇

    パレスチナ問題で私はいささか自信を失っている。
 イスラエルの政権与党勢力は「パレスチナの地は神がイスラエルの民に与えた土地である」、故に「異邦人(アラブ人等)を追い出すのは正義の行為である」と訴えているように思われる。
 その論の根拠(証文)は旧約聖書にるる述べられているから、旧約聖書を否定しない信仰者は忠実に従うべきだと主張しているように思われる。紀元前11世紀まで遡るダビデ王やソロモン王等々の頃の記述である。
 つまり、これらの神学には近代国際法の理論など入り込むすきがない。
 世界中の多くの民族や国家は、歴史的に移動し、とってかわっている。
 近代以前の、そのどこかの時点(地点)を取り上げて「国土」を主張すれば、並存は未来永劫来ないのではないか。
 私自身は各種の宗教、宗派に寛容でいたいという立場を尊重しているが、コアな信者には神を軽視しているように見えるかもしれない。
 第二次世界大戦後の国際秩序を基に議論するのでなく、己が信じる神との約束が絶対だというと議論の余地がなくなる。
 異邦人を軍事力、つまりは暴力で抹殺・ジェノサイドして何が悪い。それは神の思し召しだという主張に噛み合う言葉を見つけられないでいる。
 ただその間にもパレスチナの人々は飢え、そして殺されていく。

2025年9月20日土曜日

そうだったのか

    日本も世界もどうなっているんだ! どうなっていくんだ! と思ったりする毎日だが、YouTubeに 『自民党沈没 参政党躍進 ショート動画が動かす選挙 冨田教授』というのを見つけた。日本国内のことが中心だが、大変勉強になって頭も気分も少し整理されたような気がする。
 話は解りやすい。参議院選挙結果に表れた現象は、賃金が上がらない、暮らしが楽にならない、希望が見えない20代30代40代の男性が、長い間閉じ込められていた自己責任論から踏み出して、犯人探しを始めた。
 統計その他の事実から、その犯人がアベノミクスであるのは明らかだが、当の世代は、医療費を浪費している老人、生意気な女、そして外国人というキャッチコピーに大いに共鳴した。・・・というところから講義?はすすむ。
 リアルな分析、SNS戦略の仕掛け人、そしてロシアの介入などほんとうに目から鱗の話も多い。
 1時間40分の動画(講義?)だから視聴も大変だが、視聴するだけで教えてもらえるのだから楽ちんといえば楽ちんだ。途中のCMはスキップもできる。
 50分ずつ休憩を入れて聴くのもよし。
 時間をとって1時間40分の視聴をぜひともしてほしい。お勧めです。



 

2025年9月19日金曜日

ヌスビトハギの季節

    ダーウィンの進化論はまともに学んだことはないが、実際の生物を眺めるだけでも「ほんとうに上手く進化?したものだ」と感心することがたくさんある。
 中学生のころ、ミクロの物理学と宇宙の様子が何となく似ていることにある種感動を覚え、私たちの銀河系宇宙や地球や人間というものが、実は巨大な生物の細胞かなんかではなかろうかと想像したことがあったが、今でも「もしかしたら」とその珍説を捨てきれないでいる。
 例えば写真のヌスビトハギである。
 ヌスビトハギは如何にしてヒッツキムシに進化したのか。ほんとうに突然変異したところ上手くいったので種が反映したのだろうか。
 私は遺伝子レベルの会議があって「馬鹿な人間どもの衣服にくっつけば新しい土地にも容易に子孫が残せる」と満場一致決定され、そのようにDNAの改変が行われたように思ったりする。
 馬鹿な人間が「美しい萩の仲間だろう」なんて言ってる隙にズボンの裾にヒッツク君らには、憎たらしいが感心するしかない。

2025年9月18日木曜日

神功皇后陵散歩

    先日来、大和の馬見古墳群にある島の山古墳の被葬者について、小笠原好彦先生の説を踏まえて、後円部には神功皇后の父の息長宿禰王が、前方部には母である葛城高顙媛(たかぬかひめ)が、喪主・神功皇后によって被葬されたのではないかと考えられると書いた。
 神功皇后は、戦前はいわゆる三韓征伐などの記述をもとに侵略戦争の「正当性」の証人のように扱われ、その反動で今日に至る戦後は、多くの歴史学者によって存在自体が否定されている。
 故に、理性的で実証主義的な立場の小笠原先生が「神功皇后は実在した」と述べられていることは、見ようによっては爆弾発言かも知れない。
 そんなこともあり、先日、神功皇后陵まで散歩に出かけた。
 例によって宮内庁の治定(じじょう)であるから問題があるのだが、奈良市山陵(みささぎ)町にある「神功皇后狭城盾列池上陵(さきのたたなみのいけのえのみささぎ)は墳丘長267mで全国で12位の大きさの前方後円墳。4世紀末築造とされている。
 写真は前方部正面だから、巨大な丘というか森でしかない。
 周囲にも森(実は古墳??)が多く、ツクツクホウシが大合唱を繰り広げていた。
 それはさておき、仲哀天皇や応神天皇の陵が古市古墳群にある(移った)のに、あえて一時代前の天皇一族の墓域である佐紀盾列古墳群に築造されたのはどうしてだろう。この古墳群の地域には、小さいながらも葛木神社というのがあるが無関係だろうか。
 この墓域には、仁徳天皇の皇后(二人の内の一人)で、履中天皇、反正天皇、允恭天皇の母でもある磐之媛陵もあるから、文献上は不思議はないけれど。

2025年9月17日水曜日

ちらつく総選挙

    政局の話など好きではないが、参議院選挙で敗北した自民党が看板(新総裁)を塗り替えて、刷新ムードの冷めぬ間に解散総選挙に打って出るとの観測が生まれている。
 報じられているところでは、立民指導部もSNS対策本部を立ち上げて「常在戦場」を指示したという。
 さて石破おろし騒動は一言でいえば、自民党内の「裏金議員」「統一協会議員」の復権だから、やせ我慢でなく「望むところだ」「受けて立つ」というべきだろう。いつまでも参院選結果に意気消沈している場合でない。
 「SNS選挙」の時代はあれよあれよという間に「外国人問題」が政策の焦点であるかのように「争点ずらし」が行われ、それが現実に大きな影響を与える時代である。
 柳の下の2匹目のドジョウを狙う面々は、やたらに「スパイ防止法」をドジョウにしようとしている。
 そんな土俵に乗る必要はないが、そういう現実を常に直視しておく必要はある。
 統一協会=勝共連合は参政の法案提出の動きを受け、「道が見えてきた」と「好機到来」の喜びようである。

2025年9月16日火曜日

閑さや・・

    過日、山脈の山上近くの霊園墓地に墓参りに行ってきた。 
 下界は熱中症アラート発令中であったが、朝早くの山上近くはさすがに酷暑を忘れさせてくれていた。
 そしてミンミンゼミとツクツクホウシの声が文字どおり時雨のようにこだましていた。
 そこでふと、芭蕉が出羽の山寺で聞いた風景を連想した。例の・・
   閑さや岩にしみいる蝉の声 ・・である。
 それはニイニイゼミだなどといろいろ推定している文章もあるが、私は勝手にミンミンゼミだと想像した。アブラゼミ、クマゼミはあり得ない。ヒグラシはそのままで閑かである。やはりミンミンゼミが一番気分に合致する。ミーンミンミンミンの声はほんとうに染み入る感じがする。
 下界であるわが家周辺では滅多に聞くこともない。それだけに不思議な懐かしさも伴っている。墓参りの気分がそうさせたのかもしれないが、私(わたし)的にはミンミンゼミで決まり(これは全くの個人的な見解)。

2025年9月15日月曜日

戦意高揚剤

    『元軍医の遺言 特攻と覚醒剤』という番組が日本テレビ系で放映されたらしい。それにも触れた投稿が赤旗の『読者の広場』にあったので知った。
 「帰らぬ若い特攻隊員に”元気が出る注射”だと言って打って飛び立たせた。それが覚醒剤のヒロポンだった」という証言という。
 疲労感、不安感、恐怖心は戦意を挫く。もっと言えば理性や人間性というものも戦意の敵だろう。
 後者でいうと、日本軍の幹部が、中国の庶民を的に銃剣で突き殺せと兵隊に命じ、「これが一番の訓練だ」といったという証言があるが、戦争はヒッキョウ人殺しであるから、道義は別にして幹部のロジックにはロジックとしては納得した。
 さて、前述の投稿だが、「自衛隊は、今も覚醒剤の原料を所持できる(自衛隊法115条の3)というのには驚いた」とあったが、私も驚くとともに変に納得した。そうだろう。
 最近の戦争ではミサイルやドローンが主役のようだが、「戦略核兵器の移送や投下」を考えると飛行機のパイロットに負うこともあるだろう。そのパイロットは睡魔対策上も覚醒剤を服用させられているのだろうか。
 「抑止力論というのはチキンレースだ」と私は考えるが、「覚醒剤の上で争われるチキンレースだが何かを踏み外すことは絶対にない」と信じるということが信じられない。

2025年9月14日日曜日

島の山古墳の被葬者

    先日からの続き・・

 A 古墳の場所と副葬品の形式から考えると被葬者は4世紀末の葛城氏と関連するだろう。
 B 前方部の被葬者は女性であり、質素な副葬品から見て生前の地位等は高くはなかった。
 C 粘土槨内の質素さに比べて粘土槨外の豪華さは「異常」であり、よって「喪主」は超大物だろう。
 D それらの条件で記紀等を調べると、「喪主」は天皇扱いをされている神功皇后、後円部被葬者はその父の息長宿禰王、前方部被葬者は母の葛城高媛(たかぬかひめ)と考えられる。

 以上は、小笠原好彦先生著『古代豪族葛城氏と大古墳』のダイジェストのダイジェストである。
 ただ、記紀に書かれている神功皇后は非常に潤色されていて史実とするには疑問点が多いとされている。
 それ故に戦前の皇国史観では現代のヘイトスピーチの女王のような扱いをされ、戦後はその反動で「神功皇后は全て架空の物語だ」となっている。単純な言い方をすれば「今頃神功皇后などというのは科学的でない右翼ではないか」ぐらいの雰囲気がある。
 しかし、古代史学者の圧倒的多数は、応神や仁徳といわれる大王(後の天皇)が存在したことは事実だとしている。
 神功皇后はその応神の母である。応神は認めるがその母神功はまっかな嘘で存在しなかったのだろうか。潤色がひどいということと存在が全く認められないということとは別である。
 百舌鳥古市巨大古墳の時代の直前の話であり、富雄丸山古墳築造の時代である。
 考古学的物証主義で文献資料を読み解くと次から次へと疑問が湧くので大変だが、学びは楽しい。
 (写真はホンに島・の・山だ)

2025年9月13日土曜日

鹿は発情期

    奈良公園の鹿は野生です!
 ということで修学旅行の女子生徒がキャーキャー逃げ回っているのも過剰反応でおかしいが、箸が転んでもキャーキャー言うのだろうから仕方がなかろう。
 それよりも、雄鹿にペットのように並んで写真を撮ろうとしたり、鹿せんべいをやたらに焦らして喜んでいるのはいただけない。
 奈良公園の鹿は鹿の中では世界中で一番人間と接しているから、よく言えば人を見ているし悪く言えばアバズレだ。
 小学校低学年までの子なら頭突きでとばすのはよくあるし、男の大人に対してカンガルーのボクシングのように仁王立ちで殴り掛かっているのも見たことがある。
 人間世界でも残酷なストーカー犯罪が報じられるが、秋の雄鹿の発情期も恐ろしいほど狂暴化しているのもいる。
 雄どおしの頭突きの喧嘩などはほんとうに怖い。
    つい先日、所用で出かけていた奈良県庁で遭遇したタイ人の青年は背中に縫合が必要なぐらいの大きな傷を2か所受けていた。腕章をつけた人が応対してあちこちの病院?に電話をしていたが、ちょうど正午も過ぎ、なかなか受けてもらえず大変だった。
 聞くともなく様子を見ていると、病院側はタイ語には対応できないと渋っているらしいが「スマホの翻訳機能で会話可能です」と仲介者が説明していて、ナルホド技術の進歩は素晴らしいと感心した。
 

2025年9月12日金曜日

島の山古墳の出土品

    9月10日にゴホウラ貝とイモ貝の実物(写真)を掲載したが、その加工品あるいは石で模造したものが、鍬形石(くわがたいし)、車輪石(しゃりんせき)、石釧 (いしくしろ)である。
 釧は腕輪であるから名は体を表しているかもしれないが、鍬や車輪は昔(江戸時代?)の人が「鍬や車輪みたいだ」と付けた名前なので体は表してはいない。
 10日に書いた島の山古墳は、古墳の主体部の後円部ではない前方部の、しかも被葬者の粘土槨の内部ではない上部(外側)に、鍬形石21、車輪石80、石釧31が敷かれたように埋納されていた。発掘前に掘り出されていたこともあり、実際はさらに多かった可能性が大きい。
 これらの石製品の計式年から古墳の築造時期は4世紀後半と考えられている。
 それに比して粘土槨内の副葬品は、鏡が2面、白粉・眉墨・口紅という石製合子計3個、ネックレス等と思われる管玉、丸玉という質素なものであった。
 さて島の山古墳の位置であるが、大豪族葛城氏の墓域と考えられる馬見古墳群の北群の約2キロメートル東端で、馬見古墳群の内か外か微妙な位置にある。
 大きさは全長約200ⅿだから大古墳といえる。
 前方後円墳は約5,200基といわれているが、全長200mを超える大古墳は30数基である。
 後円部には竪穴式石室があるが盗掘されている。造出し等からは形象埴輪が発掘されている。
 以上のことから、前方部の被葬者は生前はあまり地位の高くなかった女性であるが、葬送儀礼(告別式)を執り行った者(喪主)は大実力者であったということになる。
 というところで、被葬者の探求は後日とする。
 写真は、島の山古墳前方部から出土した、鍬形石、車輪石、石釧、そして出土状況。















2025年9月11日木曜日

冷めないこと

    9月9日付しんぶん赤旗がタイガースのリーグ優勝を受けて「藤川流マネジメント」を評していたが、監督が春季キャンプ初日に強調した「凡事徹底」や、「冷めないこと。冷めてしまう組織をつくるわけにはいかない」というマネジメントを積極評価していた。
 実際、テレビを見ていて最後までヒヤヒヤする試合も多く、強さはないが負けないというゲームを積み重ねたシーズンだったような気がする。
 このブログで何故こんな記事を書いたかというと、高齢者の社会運動を頭に浮かべたとき、この「凡事は解っている」とか、「従来どおりでええやないか」という姿勢がないかどうかと、大いに胸に手を当ててみたからである。
 高齢者の冷めたお説教ほど不愉快なものはない。
 「冷めてはいないか」・・常に自問自答していこうと思う。

2025年9月10日水曜日

鍬形石、車輪石、石釧

    奈良の馬見古墳群の島の山古墳の勉強会があった。
 大量の鍬形石と車輪石と石釧が埋納されていた大古墳であるがその話は後日として・・・、

 鍬形石と車輪石と石釧はもともとは石製品ではなく、琉球あたりの産のゴホウラ貝とオオツタハ貝とイモ貝の加工品であった。
 古墳時代にはそれを真似て石で作った。一種の宝物・・威信財と考えられている。
 上の写真はゴホウラ貝、これを縦にスライスすると鍬形石になるが、けっこう分厚くて重い。
    次の写真はイモ貝だがこれは横にスライスすると石釧となる。これもけっこう分厚い。重い。
 そもそも、弥生時代からけっこうな青銅器や鉄器製造・加工の技術があったから驚くことではないだろうが、これを渡されて、当時の道具で「はい、加工してください」と私に言われると参ってしまう。

 昔、「はじめ人間ギャートルズ」という漫画があったが、古墳時代、弥生時代といわず縄文時代だって、土器その他の技術は漫画のレベルでは決してなかった。
 だから、古墳時代以降と思われる物語の記紀なども頭から馬鹿にしてはならないのでないか。

 「島の山古墳の被葬者は誰か?」小笠原好彦先生の論の進め方には納得するところが多い。しかし、その話は後日。

2025年9月9日火曜日

茗荷と塩辛蜻蛉

    ひっそりと秋が来た。
 近日中にこのミョウガも膨らんで収穫できるだろう。近くのスーパーでは三つで198円。
 私はサッと湯掻いて甘酢漬けにしておく。どんな料理にもちょっと付け合せると美味しい。常備している。
 小さい頃、慶応生まれの祖母は私に「勉強を忘れてしまうから食べたらあかん」と言っていた。
 明治~昭和前期には間違いなくキツネに騙されたという話をしていたから、その頃のミョウガは実際に記憶を奪っていたのだろう。

    秋の話のその2は赤とんぼにしたかったが、写真はたまたまだが塩辛蜻蛉(シオカラトンボ)。
 その昔に誰か食べた人がいて塩辛かったのだろうと思っていたが、ものの本には「塩をふいているみたいだから」という別段おもしろくもない解説が載っていた。

 今夏の猛暑にはうんざりだったが、ひとつだけよかったこともある。
 それは人間様以上に蚊がダウンしたことで、わが家の場合、毎年6~7個は買っていた「虫コナーズ」を一つも買わずに済んだ。(虫コナーズはけっこうエエ値段であった)

    (閑話休題)7日の夜には石破首相退陣表明という大ニュースがあったが、ほゞ同じ時間帯から始まったタイガースの試合~ビールかけまでに私は没頭した。(苦笑)
 いろんな事情があったのだろうがメジャーな地上波テレビがどこも放送しない中、堂々「サンテレビ」を胴上げしてやりたい。


2025年9月8日月曜日

菊の香や

    菊の香や奈良には古き仏達  芭蕉 

    菊の節供(重陽の節供)の9月9日に詠んだといわれているが、重陽の節供は他の四節供に比べて影が薄い。
 ある年の9月9日にイオンの食料品売り場で「菊の花はどこですか?」と尋ねたところ、「食料品売り場で何を聞くねん」というように怪訝な顔をされた。もちろん売られてはいなかった。
 若い頃は旅先で、土産物店ではなく地元の市場を覗くのが好きだったから、秋田だったか山形で食用の菊の花を買って帰ったが、夫婦二人では食べきれない量で困った。地元ではそれぐらいは普通の量だったらしい。地元ではなます(酢の物)で戴いた。
 今年の重陽の節供は、菊の生菓子を戴くとしよう。

2025年9月7日日曜日

コメ問題で目から鱗

    関根佳恵愛知学院大学教授の解説記事を読んで、目から鱗。9月7日付しんぶん赤旗日曜版、『経済・これって何』。コメ問題。
 
 政府や財界はコメ騒動を奇貨として、農業経営の大規模化、農地の大区画化、企業の農業参入の声を強めている。・・・しかたないがそれはそうだと私も思っていた。

 しかし、これまでは、単位面積当たりの収量や単位労働時間当たりの収量ばかりが議論されてきたが、いま国際的には、資源エネルギーの単位投入量当たりの収量が重視されつつあるという。
 そうすると、小規模農業が担う「農民的食料システム」は世界の食料生産に用いられる資源エネルギー量の25%しか使わずに食料の70%を生産しており、反対に「工業的食料システム」は、資源エネルギーの75%を消費しながら食料の30%しか供給できていないのだと。

 とまれ、農業経営の大規模化、農業生産者の減少、過疎化やコミュニティーの衰退、学校統廃合、商店や診療所の閉鎖、自治体や金融機関窓口が遠くなる。・・仕方ないのか。
 だから・・、大規模な農業経営がぽつんと存在するより、小規模な農業経営が数多く存在する方が、防災、景観、文化の継承を含め社会的効率性が増すのだ。
 漫画の吹き出し風にいえば「がああ=ん」と言うべきか。発想の転換を世論に広げようか。
 初夏にコメ問題で受けた学習会では「大規模化は避けられない」ような雰囲気だったが・・。
 日々これ勉強。 そのためにも赤旗日曜版の記事は新鮮だった。

戦争省

    テレビを見ていて、一瞬「西部劇か?」と時代を疑ったが、トランプ大統領は国防総省を戦争省(Department of War)に改称する大統領令に署名した(正式改称は議会承認が必要)という。

 つい先日は、習近平、プーチン、金正恩三人組の写真が報じられたが、そこにトランプが加わっていても何の違和感もない。

 世界も日本国内も予断を許さない。
 「自動車のトランプ関税が15%でよかった」などと浮かれている場合だろうか。

 ウクライナでは日々死亡者が発生している。ガザでは「皆殺し」に近づいている。

2025年9月6日土曜日

まつり復活へ

          陽は昇りにんげんいくさばかりする 清水去鳥

    この川柳、課題は「太陽」であった。
 田辺聖子は・・・「陽は昇り・・」という詩的な、タカラヅカ的セリフの、昂揚した詩句から何がつづくのかと期待をこめて読めば、下の句の醒めた皮肉のおかしさ・・」と評している。

 一般に、作文等に向かう精神について井上ひさしは「まじめなことを愉快に」と諭していることはこのブログでも度々書いてきたが、これがなかなか難しい。
 私は大胆にも、何の知識もないまま某会報の川柳の投稿の依頼を勝手連みたいに担当?してみたが、まじめを絵に描いたような会員からは投稿はない。
 40年前後まじめを絵にかいたような職業生活の面々だから仕方がないかもしれないが、人生百年時代、第二の人生でそれぐらいの挑戦をせずにどうする。

 先日、堅い新聞の堅い論文を読んだが、運動の世代的継承に関わって、「さまざまな楽しいイベント、まつり(フェスティバル)で交流と連帯・・」というくだりでは、ようやく気付いたか!と共感した。あまり軽く読み飛ばしてほしくないなあ。

2025年9月5日金曜日

秋刀魚

    おッ太った秋刀魚や! ここ数年見慣れてきた痩せた秋刀魚よりも確実に太っている秋刀魚が店頭に並んでいた。
 とりあえずは御祝儀で購入した。
 孫の凜ちゃん曰く「ウマイ!」

あはれ
秋風よ
情〔こころ〕あらば伝へてよ
――男ありて
今日の夕餉〔ゆふげ〕に ひとり
さんまを食〔くら〕ひて
思ひにふける と。
 
さんま、さんま
そが上に青き蜜柑の酸〔す〕をしたたらせて
さんまを食ふはその男がふる里のならひなり。
そのならひをあやしみてなつかしみて女は
いくたびか青き蜜柑をもぎて夕餉にむかひけむ。
あはれ、人に捨てられんとする人妻と
妻にそむかれたる男と食卓にむかへば、
愛うすき父を持ちし女の児〔こ〕は
小さき箸〔はし〕をあやつりなやみつつ
父ならぬ男にさんまの腸〔はら〕をくれむと言ふにあらずや。
 
あはれ
秋風よ
汝〔なれ〕こそは見つらめ
世のつねならぬかの団欒〔まどゐ〕を。
いかに
秋風よ
いとせめて
証〔あかし〕せよ かの一ときの団欒ゆめに非〔あら〕ずと。
 
あはれ
秋風よ
情あらば伝へてよ、
夫を失はざりし妻と
父を失はざりし幼児〔おさなご〕とに伝へてよ
――男ありて
今日の夕餉に ひとり
さんまを食ひて
涙をながす と。
 
さんま、さんま
さんま苦いか塩つぱいか。
そが上に熱き涙をしたたらせて
さんまを食ふはいづこの里のならひぞや。
あはれ
げにそは問はまほしくをかし。

 中学生の時に知った佐藤春夫の秋刀魚の歌。
 その『事件』に共感する感受性もなかったが、「そが上に青き蜜柑の酸〔す〕をしたたらせてさんまを食ふはその男がふる里のならひなり」のフレーズは気に入った。
 何年か前、芦屋の谷崎潤一郎記念館に行ったが、『事件』前後の谷崎の行動には共鳴できなかった。私は凡人である。

2025年9月4日木曜日

洗濯ばさみ

    感覚的な感想のレベルだが、この夏の猛暑にはさすがのプラスチックも音を上げて、「洗濯ばさみ」が日々、雪崩を打つように壊れていく。
 どう考えても分解可能である高価なプラスチックではないから、壊れるたびに環境悪化を想像してしまう。
 少し寄り道の話だが、プラスチックを分解する微生物は非常に珍しいが、日本でも見つかっている。
 ペットボトルの素材であるポリエチレンテレフタレール(PET)を分解する細菌が堺市で見つかっていて、イデオネラ・サカイエンシスという。この細菌はPETだけを食べ、二酸化炭素と水にまで分解する。
 二酸化炭素は焼却に比べてかなり抑えられるらしい。
 門外漢の私は、堺市とかサカイエンシスという名前だけで感心している。

 「進化論」は批判もあるが、細菌も日々進化していてプラスチックの激増に応じてプラスチックを分解する能力を持つ細菌も増えているという。面白い。

 「プラスチックを分解する細菌」のことは、鈴木智順著「地球を動かしている微生物のすごい世界」で学んだ。

 この本のことは後日書こうと思うが、私はフェイスブックに次のような感想を投稿している。

 🔳 著者の鈴木智順さんは親切だ。

 牛の胃の微生物を解説するのに、第1胃=ミノ、第2胃=ハチノス、第3胃=センマイ・・というように解りやすい(何が解ったは別)。

 井上ひさしさんの言葉ではないが、むずかしいことをゆかいに! かな。🔳

2025年9月3日水曜日

パレスチナのこと

    トランプ米大統領は、ニューヨークで開かれる国連総会に出席するパレスチナ自治政府アッパス議長らのビザ発給を「拒否または取り消す」と発表した。 もちろん「国連が招待した人物の国連本部訪問に障害を加えてはならない」と定められた国連協定違反の措置である。
 フランス、イギリス、カナダなどの有力国もパレスチナを国家として正式表明するといわれている国連総会への妨害行為でもある。
 この不法、不当なトランプ政治に対して、石破自公政権は未だにパレスチナ政府を国家として認めるとも言っていない。一言で言って対米従属ぶりが情けない。
 
 1900年代後半にパレスチナの代表が来日した当時のことを思い出す。
 当時の社会党などは「イスラエルを追い出してパレスチナ国家を樹立する」という方針で大いに勇ましく、共産党の「パレスチナ、イスラエルの平和共存」という方針は、当時はまるで腰抜けのように非難する声もあった。それが今は両国の平和共存を実現するという方針は国連の圧倒的多数の声となっている。隔世の感がある。

 ところが、ワシントン・ポストによると、ガザの戦後について、アメリカがガザを10年間管理する。住民は他国等へ「自発的に」移住する。移住する住民には一人5000ドル(約73万円)と4年分の家賃補助や1年分の食料を支給する。そしてアメリカ(トランプ?)がガザをリゾート地として再開発する。・・という案が検討されていると報じられている。

 ・・それでも日本は、トランプに尻尾を振って突いていくのですか???
 【写真はトランプがSNSに投稿したガザの未来の映像。真ん中はトランプの黄金像。ネットから】

2025年9月2日火曜日

おそろしい呪文

    昨日9月1日は関東大震災の日、同時にその混乱に乗じて少なくない朝鮮人、中国人らが虐殺された日。 
 1910年韓国併合後、日本の植民地支配に抗する独立運動が湧きおこるが、日本国内(いわゆる内地)ではそれを暴動と報じ、朝鮮人=悪者と喧伝された。
 大災害の混乱と不安の中で広まったものだが、その背景にはこういう報道や喧伝があったという事実は重要なことだ。
 虐殺を示す資料や証言は国や都の文書でも明らかなのに、小池東京都知事は今年も朝鮮人犠牲者の追悼式典への追悼文を拒否した。
 群馬県では山本知事が昨年、朝鮮人労働者の追悼碑を強制撤去した。
 こういう態度が参政党などのヘイト集団を後押ししていることは間違いないことだろう。
 昭和前期の歴史は、外国人差別やヘイトの喧伝と足並みをそろえて侵略戦争に進んでいったことを教えている。
 
 戦前の神道(国家神道)が社会に果たしていた影響力は現代人の想像を絶するものがあったが、その教学の重要な位置にいたのが民俗学者の折口信夫(おりくちしのぶ)(写真)であった。
 大震災直後、沖縄の調査から東京に戻った彼は、やさしい大阪弁であったので、何度も自警団に尋問され、疑われ、虐殺の候補にされかかった。そして虐殺の事実を目撃した。そこで見た地獄図を彼は後に詩に書いた。(詩の一部)
   おん身らは 誰をころしたと思ふ。
    かの尊い 御名においてー。
     おそろしい呪文だ。
      万歳 ばんざあい

2025年9月1日月曜日

日曜版LINE公式

    「近頃の若者は電車の中でもスマホばかり見ていて本を読んだりしていない」「おまけに歩きスマホだ」と苦々しく語る昔青年がおられるが、そういう忠告もスマホから発しないと若者には届かない。早い話が「スマホは嫌だ」「苦手だ」と言っていたのでは社会の右傾化、民主主義の消退を克服できない。
 そのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の第一歩はLINE(ライン)だと思う。
 しんぶん赤旗日曜版もそのことを強調していたが、9月1日からは『日曜版LINE公式』を始めることになった。 
 すでにLINEを利用されている方は、LINEの「ホーム」を開け、右上の「友だち+(友だち追加)」を開け、「QRコード」を開けるとカメラになるので、このページ右上の「画像(QRコード)」を撮る(スキャンする)」、そして出てきたリンク先のアドレスを開いて「友だち追加」すると、「友だち」の一人として「赤旗日曜版LINE公式」が保存される。
 その後は、LINEの「トーク」で「赤旗日曜版LINE公式」を開けると、クイズの投稿や赤旗YouTubeなどの画面に簡単に移動できる。
 もし、このとおりに上手くいかなかったら教えてください。