ISがシリアの博物館の文化財を破壊しているとのニュースがあった。
解説では、「イスラムの教えに反する偶像だから」と言っているらしい。きっとそうだろう。
この蛮行をもってイスラム全体への誤解や偏見が広がることがないよう祈りたいが、何とも言えない気分になる。
近所の奈良大学は、シリアを始め中東の発掘作業に大いに参加し、パルミラ遺跡の報告会などをよく聴きに行ったが、そこの映像で見た数々の遺物等は被害に遭わなかっただろうか。今回の破壊以前から無政府状態による盗難も酷かったと聞く。
前回の記事で奈良県立橿原考古学研究所付属博物館に行ったことに触れたが、ここでも(奈良県でも)拝金教徒による文化の破壊が進んでいるようだ。
奈良県議会では、昨年9月議会の予算委員会で知事が若草山モノレールに触れ、反対する意見について、それは「研究者の言葉だ」「考古学一派の言葉だ」と発言している。品のない言葉である。
知事の言いたいことは『考古学一派は発掘と保存に熱心であるが、遺物等を研究者だけで一人占めにしている』ということらしいが、それは大きな誤解であり、相当以前から考古学者らは遺跡や遺物の公開、説明、展示等に力を注いでいる。
きっと・・・それを知った上で言っているはずであるから、早い話が「研究や保存よりももっと観光資源に使いつくそう」ということだと私は推測している。
そして今年の1月、県は橿原考古学研究所を教育委員会の所管から知事部局に移すことを決定したと新聞が報じた。やっぱり。
奈良県が観光政策を重視するのには反対ではない。
しかし、若草山にバスを走らせたり、奈良公園の中心部に土産物屋を建てたり、平城宮趾の木簡を朽ちさせるのは本末転倒ではないだろうか。
ISのニュースを聞きながら、この地の拝金教徒にも心が塞ぐ。
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