日本食生活全集より |
だから、義母が元気なうちに若い頃作っていたという『しんこ』を再現して食べさせてやりたいものだとこの間から思っていた。
『しんこ』は、『日本の食生活全集29奈良の食事』の『斑鳩の里の食』から抜粋すると・・・、
しんこのだんごは、祝いごとや仏事のおりにつくる。
米の粉ともち粉を水で練ってこしきで蒸す。
蒸しあがったものをさいとう(浅い桶)の中に出して、手のひらに力をこめてつきこんで、だんごにする。
軽くにぎれるほどの大きさにちぎり、鉄のねじり型に入れて形をつける。
もう一度こしきに入れて蒸しあげる。
砂糖をつけて食べるとおいしい。
米の粉八合ともち粉二合を合せて一升で240個のしんこをとる。・・・・とある。蒸しあがったものをさいとう(浅い桶)の中に出して、手のひらに力をこめてつきこんで、だんごにする。
軽くにぎれるほどの大きさにちぎり、鉄のねじり型に入れて形をつける。
もう一度こしきに入れて蒸しあげる。
砂糖をつけて食べるとおいしい。
行事食であること、親戚や近所に配ること、つくり方、その形など義母の記憶(講義内容)のそのとおりである。
それから・・つまり鉄のねじり型を手に入れたいと思ってから・・・は、奈良町や大和郡山の旧市街地を歩いた折に、古い荒物屋、古物商、和菓子店に首を突っ込み「しんこ餅のねじりん棒みたいな型はありませんか。知ってませんか?」と尋ねることにしてみたが、「いやあ~ ありません。知りません」という連続だった。
わずか50年から70年前のことであるがこの有様。
近現代史というジャンルが存在する意味も納得させられる。
結論から言うと、その目的は未だ達せられていない。
しかし、田原本町の古い荒物屋のおばあさんが、「へええ へええ 金のなあ こんな捻ったのんなあ そういやあ ありましたなあ 昔」と、話だけは通じた時には何かむしょうに嬉しくなってきた。
だから、義母には、『鉄のねじり型』を手に入れるまではどうか元気でいてほしい。
『鉄のねじり型』は駄目だったが、義母の記憶どおり『しんこ』を作ることにした。
庭の蓬(よもぎ)を摘んでみた。結果的にはもう少し多かってもよかった。
「もう忘れたなあ 忘れたなあ」と言いながら、上新粉をこねる手はびっくりするほど力強かった。
それを蒸して、餡子を挟んで、柏餅ならぬ『柿の葉だんご』にした。
買い求めた団子よりも10倍も100倍も美味しかった。
なにせ義母の7~80年前のレシピどおりである。
『日本昔話』の味がした。
ねじり型で作るという事は、大量に作る為で、何処かの家が当番になり、祭事や神饌として作った、と考えられませんか?「柿の葉だんご」アンコが旨そうです。
返信削除清酒の醸造の際、米の蒸せ具合を見るため、米を取ってひねりつぶして餅状にしたそうです。それを捻り餅(ひねりもち)と言ったそうですが・・、
返信削除江戸幕府は旧暦6月16日の吉祥祝の行事に「捻り餅」を用いたそうです。
京都の嵯峨の平野屋や愛宕神社の門前、奈良町の「おくた」の「しんこ」はこの「捻り餅」の形なのだと思われます。
そして「祇園饅頭」の「しんこ」は、その進化形で『型』を用いています。
と、すると・・、義母の「鉄のねじり型」はその中間の文化だったのでしょう。
それはさておき、ネットの写真で見る限り、これらのお店の「しんこ」は結構片栗粉が入ってますね。
おいしそー
返信削除おいしそうですね。夫はむかーしむかーしのよもぎ餅を食べたいと。色々買いますが違うといいます。これはいけそうですね。富田林寺内町で、 ねこもち として 蕎麦屋で売っていました。米粉と餅粉です。
返信削除「ねこもち」というと、いわゆる「のしもち」しか知りませんでした。ネットで見ると「きなこもち」のような「あかねこもち」というのがあるのですね。そして、富田林では「よもぎもち」「よもぎだんご」も「ねこもち」と言っているのですか。知りませんでした。貴重な情報をありがとうございました。
返信削除しんこだんご、ひょっとして大和郡山市の甲子堂のお菓子がそうではありませんか?
削除仏事のおさがりで頂きました。
何という名前か、気になり調べていました。
長さ10cmくらい、太さ直径1.5cmくらいで中央にらせん状のみぞがあってひねったような形です。型にはめて作ったような盛り上がりが両脇についています。
米粉でできているのかな、といった甘みはほんのりとついている感じのお菓子です。
!情報ありがとうございます。調べてみます。
返信削除田原本で育った30代ですが、子供のころ当たり前のように食べておりましたw
返信削除金型を使うとは知りませんでしたが、ねじった形のもちで、食紅で筋のようにピンク色が入っていたのを覚えております。と考えると80年代から90年代頃まで田原本近辺には残存していたと思われます^^
匿名さん、「田原本では少し前まで当たり前のようにあった」というコメントありがとうございます。
返信削除2012年5月28日のコメント(情報)に基づいて追跡した結果を2012年6月2日の記事『念ずれば「しんこ」』に書きました。
このように会話が発展して喜んでいます。