2013年2月13日水曜日

雪洞に灯りを点けて

  今は亡き義父は大阪の大企業の技術畑にいた人で、頭に何かが付くほど〇〇真面目で堅物であった。
 だから、いわゆる出世はしなかった。
  そして、精神的な気風は祖先の出身地である農村文化を色濃く受け継いでいた。
  だから、そう、だから、私の長男である初孫が生まれたときに、五段飾りの五月人形を幾つかの大風呂敷にまとめて、新幹線に乗って、当時私たちが住んでいた千葉県にまで来てくれた時には本当にびっくりした。
  当時の私たちの住まいは6畳3畳キッチンの社宅だった。ああ。
  長男のときにそうであったから、長女のときには「兄と比べて僻んだらあかん」と、さらに大きな七段飾りの雛人形だった。ああ、ああ。
  だから、ご推察のとおり、何年か後には最上段だけを飾ったり、ついには別のもっと小さな人形等で済ませてきた。(すみません。)

  しかし、時は移り今や我が一族の主人公はおんとし1歳数か月の孫の夏ちゃんとなった。
  そこで、何年振りかで七段飾りを全て飾ることと相成った。
  私たち夫婦が子供のために飾った時代は子育て真っ最中であったから、人形の優雅さをしみじみ味わうこともなかったが、いつか来る孫のために今こうして老夫婦だけの家の中に飾ってみると、義父・義母の暖かい気持ちが濃厚に漂ってくるのである。(保管場所にも困るから保育園にでも寄付しようかなどと考えたりしてごめんなさい。)
 そうか、節句の飾りは爺婆のためのものだったのだ。

  さてさて、写真の雛人形だが、これは縦横奥行各12㌢ほどのミニ雛人形。ドールハウスという範疇のものらしい。
  15年ほど前、仕事の同僚である若く美しい女性から戴いたもの。
  手先の器用な彼女の手づくりの作品で、雪洞(ぼんぼり)が灯る仕掛けまでしてあった。
 私の感覚でいうと、ドールハウスはジオラマのパーツのようなもので、彼女の作った古民家や居酒屋はアニメの世界に吸い込まれるのと同じような夢があった。その域は趣味のレベルをはるかに超えていた。
  そして彼女は、今ではその作品に値段が付く堂々たるプロの水彩画の画家になっている。
  だからというわけではないが、これは私の宝物。でも、やんちゃな夏ちゃんがこの後どうしてくれるかは分からない。

2 件のコメント:

  1.  ブログ拝見しました♪
     「宝物」と言ってくださって心が温まりました。
     そして、パソコンで大きくしても全くカビていなくて、綺麗に保存してくださっていて感激です♪
     プロの水彩画家にはまだまだ遠い道のりです(汗)

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  2.  ありがとうございます。
     メールを勝手に上記のコメントとして公開させていただきました。
     ご容赦を。

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