2011年11月3日木曜日

隆達節

 先日、堺の顕本寺で隆達節を聴く機会に恵まれた。
 高三隆達(たかさぶりゅうたつ)は、堺の富商で同寺の住職の後還俗したが、彼の作った隆達節は、天正末から慶長年間(秀吉の全国統一から大阪冬の陣の頃)に大流行し、そこから、後の小唄等が進化したと言われている。故に小唄の元祖とも書かれていたりする。
 哥澤芝虎師匠の「皆さんもご一緒に」との言葉に誘われて謡ってみたのはよいけれど、残念ながら小生は、端唄、うた沢、小唄、常磐津等の違いも判らぬ邦楽音痴、歌詞は貰って帰ったが家では全く復唱できないのが悔しい。

  しかし同寺には、工藤晃著「エコノミスト歴史を読み解く」(新日本出版社)で紹介されていたボストン美術館所蔵「顕本寺屏風」のレプリカが飾られていて、遊里の情景の左右に隆達自身の筆による隆達節の歌詞があり、その筆頭が「君か世は千よにや千代にさゝれ石の岩ほとなりて苔のむすまて」であることを感慨深く鑑賞させていただいた。

 「君が代」とぴったり一緒の歌詞、それを謡っているのか相当はじけた様子の遊里の情景を眺めながら、「条例を定めて従わない教員を解雇する」といきまく人々たちとのこの距離感はいったい何だろうと考えさせられた。
 (写真は何れも本にあったもの)

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