2012年8月31日金曜日

つくつく法師

  子規の句に、ツクゝゝボーシツクゝゝボーシバカリナリ というのを見つけた。載っていたのがちょっとした本であるので名句なのだろうが門外漢にはその好さが判らない。
ネットから

  8月末になって蝉も見事に役者が代り、つくつく法師が主役になると、いくらテレビが熱中症の注意を呼びかけていても晩夏から初秋の空の青さを感じるようになる。
  その鳴声をほとんどの書物はオーシイツクツクと書いているが、私は素直にツクツクボーシと聞いている。
  鳴声についてのこの大きく二種類の表記のうち、どちらがより真実に近いかの論争は昔から今も賑やかだが、絶対的名解答にはお目にかかっていない。
  それよりも、100%に近い書物が「最後にジーと尾を引くように鳴き終わる。」に近い書き方であるが、この地のつくつく法師は「ギューオウー」とでも書くしかないような、機械の軋んだ様な悪声で終わる。
  法師蝉という有難い名前に似合わないこの「ギューオウー」という悪声の悪口を誰か(例えば清少納言)が書いていないかといろんな書物をひっくり返してみたが出てこなかった。
  あまりにカスリもしないので、自分の耳が信じられなくなった。
  しかし、確かに最後は軋んだ悪声で終わっている。

  で、この下書きをここまでで中断中に、書物を横に置いてお手軽にネットを開けたらWikipediaに「ツクツクボーシツクツクボーシの鳴声の後にウイヨース!と鳴く」と書いてあった。拍子抜けとはこういうことだろう。ただウイヨースよりももっと悪声であるとの感覚は譲れない。
  皆様方の地方のつくつく法師は何と言って鳴き止んでいますでしょうか?

  朝日文庫の「四季の博物誌」によるとこの蝉は、ツクツクヨンス(宮城)、ツクシンボ(福島)、オーシンチョコチョコ(千葉)、スットコイーヨ(新潟)、オーヒッツク(長野)、ツクンヨーシ(和歌山)、トキシラズ(島根)、ツクツクボー(高知)、ズグッショ(天草)、ツクツクムシ(鹿児島)、オーシーツク(各地)とも呼ばれているらしい。

  「ギューオウー」は悪声であるだけに夏休みの終了宣告にはとてもふさわしい。 

4 件のコメント:

  1.  先日のまんまる団地に(つくつくぼうしが鳴くと夏休みも終わりですと言われているようで好きになれない。)と紹介されているのをみました。作者も同じ思いをしていたのかととても親しみを覚えました。

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  2. !茅渟の海さん コメントありがとうございます。閻魔コオロギ、綴れ刺せコオロギの声も大きくなって季節は確実に巡ってきたようです。で、御地のつくつく法師は何と言って鳴き止んでいるのでしょう。レポートをよろしくお願いします。

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  3. 先週、元職場のOB連中と格安ツアーで中国桂林に行ってきました。蒸し暑い桂林の公園周辺はツクツク法師の大合唱でした。鳴き声は日本と変わりませんが鳴き終わりは「ジー」とは聞こえず簡単に言えば「ジュルジュルー」という風に聞こえました。実際はもっと複雑な鳴き声ですが・・鳴き声の表音はその場所の人の言葉で変わるので桂林の人はツクツク法師とは言わないと思います。ガイドに聞けば良かったが暑さで頭が回らずアトノマツリです。スンマヘン。

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  4. !人間ですらこれ程までに言語・発音・方言が違うのですからツクツク法師もきっと道教の道士のように鳴いていたことでしょう。
     西欧人は右脳(音楽脳)で聞くので蝉の声の聞き分けができないと読んだことがありますが中国人はどうでしたか。(日本人は左脳(言語脳)で聞いているらしい)

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