2012年7月6日金曜日

リハビリは目が回る

  7月2日の朝日新聞の「私の視点」に「短期入所でもリハビリを」という福武敏夫医師の投稿があった。
  曰く「デイケアのリハビリで効果のあった高齢者が、ショートステイになると寝かされたままで、肺炎や床ずれの原因になっている。」と。
  この話は非常によく理解できる。
  特養になるとなおさらだ。現実の世界と乖離した制度の硬直した位置づけに問題があると、私も氏と同じように不満を感じている。(正確に言えば・・介護ヘルパーの資格を持つ妻の見聞からしても・・・施設によってその温度差は大きく、実母のお世話になった施設は非常に前向きだったので喜んでいるが、それでも感じるところはあった。)
  私は診療報酬に関する仕事の経験もあるが、「リハビリこそ過剰診療の温床だ」と言わんばかりの現行制度は非情であるし、結果として病人=医療費を増大させていると私は思う。
  そして、それぞれの症状により千差万別ではあるが、広義のリハビリは、専門家と家族がそれぞれ努力することで非常に効果を発揮すると信じている。(医師や理学療法士による本格的なリハビリを知ったなら、診療報酬は廉すぎるように実感する。)
  近頃、「家庭での介護が一番幸せな形だ」的な論調が時々見受けられるが、そんな幸せな姿を寡聞にして私は知らない。
  政府とメディアがキャンペーンを張り出したら眉に唾をつける必要があると私は経験的に学んでいる。 
  そんなことで、偉そうなことは言えないが、おおよそ2週間に1回の義母の外泊の際、その度に何か目新しい刺激を与えられないかと妻と話し合っている。
  そこで、先日の外泊の際は、体調の万全を期しておいて、思い切って回転すしに連れて行った。

  ジョッキのビール、あちこちの来客、そして寄せては遠ざかるお皿のいろいろ、この一連の刺激を、無意味な不安にとらわれ、一時はほとんど寝たきりのように衰えていた高齢者のリハビリと言わずしてなんとしよう。
  ただ、ビールを飲んだ上に、あまりに熱心にレーン上のお寿司を追いかけているうちに、「あ~目が回る」とほんとうに言い始めたので、大笑いをしてリハビリをストップした。
  ええっ! こんなのリハビリって言わないんですか。

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