2025年10月24日金曜日

白頭山から

    10月22日に冬が突然やってきた。冬というと雪であるが、雪国金沢には親戚がいる。2024年元旦にスキーを楽しんだ孫の夏ちゃんファミリーがその家で能登半島地震に遭遇した。それはさておき・・

 朝鮮半島の付け根付近、北朝鮮と中国の国境線上に白頭山という標高2,744ⅿではあるが周辺の山脈を含めると全体で九州ぐらいになる孤立した山岳がある。 
 この辺りは歴史的には、濊、貊、高句麗、靺鞨、渤海、契丹(遼)、金、モンゴル、女真、清、満州、朝鮮などの国や民族が覇を争った地で、その戦乱の歴史は、極東の列島人では想像がなかなか追いつかない。
 そして現代では、北朝鮮も韓国も、朝鮮民族の故郷の霊峰として白頭山をあがめている。
 韓国の第二の国歌とされている『アリラン』でも、
 〽 アリラン アリラン アラリよ
   アリラン峠を越えて行く
   あそこのあの山が白頭山なんだね
   冬至師走でも花ばかり咲く ・・と歌われている。

 金沢の話から、なぜそんな遠い?異国のことを書くのか!というと、先日読んだ坪木和久著『天気のからくり』に・・冬季に大陸の寒気が日本海上に流れ出すのだが、寒気は重いので白頭山を乗り越えることができず、東側と西側に分かれて流れ出し、風下側の日本海上でぶつかり合い、「日本海寒帯気団収束帯」(JPCZ)と呼ぶ通常の雪雲の高さ(たかだか3㎞)の倍くらいの5~6㎞の帯状の雪雲、いうならば線状降水帯のような異常な「降雪帯」になり、北陸、能登半島や金沢に記録的な大雪を降らせるのだという。
 豪雪は、単純に「西高東低の気圧配置で大陸の冷たい空気が流れだしてくる」というほど単純ではないらしい。

 そんなことを思うと、遥かアムール川から流れ出た流氷が北洋の豊かな漁業資源の素となったり、評判の悪い黄砂だって、日本海や日本列島を豊かにしていることがあるように、イマジンではないけれど、自然に国境などないんだと気づかされた「天気の本」だった。
 もう一度言うが、地球には国境などないのだ。

4 件のコメント:

  1. 「天気のからくり」で一言。登山に勤しんでいた「美しい十代」の最高年には本格的に冬山にハマっていた。山岳会にはリーダー・装備・会計・食事・記録などなどあるが私は気象を担当していた。当時はインターネットやスマホも無く、頼れるのはNHKラジオの気象通報だった。午前9時 午後4時 午後10の3回だ。「石垣島では天気はくもり 気温は15度 気圧は・・・」で始まるやつだ。狭い冬テントの中で、かじかむ指を温かい息をかけながら 鉛筆で天気図を書き始める。外は相変わらず風雪の音が聞こえる。等圧線を書き上げ完成だ。二日間閉じ込められてるのは北アルプスでも豪雪地帯としている鹿島槍ヶ岳のバリエーションルートだ。日本海に低気圧が発生した。約半日は好天となる疑似好天だ。下山のチャンスや、まごまごしていたら暴風雪に見舞われる。リーダーが発した「撤収だ」。 幸岳人

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  2. いやあ~ コメントに引き込まれました。 ありがとうございます。

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  3. リヤルなコメント拝読しました。思わず塵が積もった「新田次郎」の本を引っ張り出して読み返しています。千島列島の気象情報を聞き最果ての地の天候を想像した55年前を思い返しました。

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  4. 昔山男たちの話はいいね。

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