2022年12月7日水曜日

マイナンバー漏洩

   3日と4日にラジオでも報道されていたし、その後いくつかの新聞でも報道されていたが、2017年度から2021年度の5年間に企業や行政機関から情報漏洩や紛失したマイナンバー情報は、約3万5千人分だと発表された。

 これはきちんと報告された大口の事件だけで1件1件が小規模なものは含まれていないという。

 この話、私には全く驚きでもなんでもなく、当たり前の出来事だった。USBなどの紛失、誤送信、さらにはサイバー攻撃。
 例のオレオレ詐欺みたいな単純なものでさえ根絶できないのに、今後「儲かる」となったら犯罪による漏洩も増えるだろう。大病院さえサイバー攻撃でダウンする時代だ。
 だから漏洩事故が一切起こらないと考える方が、世間知らずというか、「お花畑」だと断言する。

 そのマイナンバー、健康保険証とも統合して「国民総背番号」に向かっていることは間違いない。
 同様の仕組みはアメリカや韓国で先行しているが、ドイツやフランスでは「憲法違反」などとして導入されていない。
 特にドイツは、ナチス時代や東ドイツ時代の歴史的総括から、国家権力が国民のプライバシーまで把握することは民主主義に反すると考えられている。

 「自分には隠し財産もないし特別の病歴もないから問題はない」と考えるのは視野が狭すぎる。
 人には知られたくないプライバシーがあるし、それは何よりも保護されなければならない。いくら「情報公開」の時代だからと言って夫婦生活まで公表されるのは不当であろう。それと同様、あるいはそれ以上に侵されないものもある。

 一つの番号でその人の全てが判るということは、権力側からすればこれほど便利なものはないが、それは大きな危険と隣り合わせだ。ドイツの理性的な言葉を聞くべきだと私は思う。
 一つひとつの例えば年金、例えば健保、みんなそれぞれコンピューター処理されている。それでよい。横断的に統合されると権力側には便利だが、横断されていない不便さこそ民主主義なのだ。

2 件のコメント:

  1. 横断されていない不便さこそ民主主義なのだ、は名言です。

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  2.  「横断されていない不便さこそ民主主義なのだ」に強く同意していただきありがとうございます。
     内田樹先生的にいえば「株式会社の社内的効率的ルール?こそ社会の望ましいシステムだ」と考え違いしている人々のなんと多いことか! アッ、チコちゃんになってしまいました。
     効率=便利は善・・というのは正しくありません。

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