2021年8月15日日曜日

大東亜戦争の真相

 『あゝ野麦峠』は山本茂実氏が数百人の元女工らから聴き取りをして成ったノンフィクションだが、著者は多くの元女工らが著者の意に反して朗らかだったことに驚いていた。種明かしは、体の弱い多くの元女工はすでに死んでいて、聞き取れた人々は丈夫で生き延びた人々であったからだ。現代風にいえば、少し異なるが「勝ち組」が多かった。だから、大切な観点は、そういう声が多数であったとしても当時の製糸工場が天国であったわけでないことが大切で、76年前の太平洋戦争の実態についても、いわゆる「歴史修正主義者」が跋扈しているが、あまり表面には出ていない真実の声に耳を傾けることが重要だと思う。

   今日は8月15日。昨日から多くの書籍を書架から引っ張り出して読み返した。戦争を選択した日本指導者たちの歴史、同盟したドイツ軍と比べても特異な日本軍の作戦と規律等の体制、従軍慰安婦の数々の史料、・・・いろんな文字を読んだが結局一番感じ入ったのは「しんぶん赤旗編『元日本兵が語る「大東亜戦争」の真相』という、証言集だった。

 誰もが実名で証言されていて、初版が2006年と15年前であるから、きわめて貴重な証言集である。
 今月初めにヒロシマの被爆者である先輩のフラッシュバックの怖ろしさをこのブログに書いたが、証言者の殺害や拷問の加害の悪夢はそれと同質とも思える心の葛藤があったことだろう。

 南京大虐殺、従軍慰安婦、七三一部隊の生体実験、刺突訓練、三光政策、などなどなど。
 戦争は人間性を脱却?して初めて行える。その途中からは「殺されているのはどっちもどっちだからと女性でも子供でも殺(や)る。それが(そういう心理状態が)当たり前だったと多くが語った。

 圧倒的多数の兵士は語らないまま逝ってしまっている。証言者は、「あなたの行なった悪行を語ってくれ」という怖ろしいほど残酷な申し入れに応えたのであった。
 結局私はその証言の重さに心が塞いで何もここに書けない。
 76年間戦争のない時代を私たちは生きてきた。しかし、ウルトラ右翼政党と化した自民党や維新の策動によってそれは非常に危うくなっている。
 8月15日。歴史の修正を許さない。憲法改悪を許さない。そんなことを噛み締める日にしたい。

1 件のコメント:

  1.  今年の春、維新の馬場伸幸幹事長が「従軍慰安婦と呼称を止めるべきだ」と質問主意書を出し記者会見を行った。 それが如何に歴史を捏造するものであるかについて、2019年毎日新聞の記事が大いに参考になるので、よければ、下記のブログ記事も再読していただきたい。2019年8月20日「維新松井氏のデマというデマ」
    https://yamashirokihachi.blogspot.com/2019/08/blog-post_20.html

    返信削除