私が少年時代を過ごした堺の旧市はその頃から町割りが碁盤目状の都会であり、私の小学校区には水田などなかった。それでもいわゆる「戦後」のその当時は、日本国全体が自然のままだったのだろう。夏には、街の十字路に赤とんぼが何時も群れて飛んでいたし、ヤンマ(オニヤンマ、ギンヤンマ)は街の十字路から十字路まで、ちょうど町や丁をわきまえたように道路上をパトロールしていた。思い出すだけで懐かしい。
今現在私は、そういう少年時代とは比べ物にならないくらい自然にあふれた街に住んでいる。早い話が田舎である。にもかかわらず、トンボを見かけるのはぐんと減っている。街中が「清潔」になり、蚊などが減ったせいだろうか。ヤゴが育つような川や池が減ったのだろうか。 そんな中、先日からわが家に「麦わら蜻蛉」が定時にやってくるようになった。麦わら蜻蛉とはシオカラトンボの♀である。
そこは狭い狭い庭である。それでも数メートルの楕円形の平地があって周りに木が茂っている。その空間を丸く丸くパトロールに廻ってくれる。それがガラス戸越しに観察できる。
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