思えば「進歩と成長」も神話の一種なのかもしれない。私などはその神話にどっぷり浸かって走り続けてきたような気がする。(偉そうなことは言えないがこの国の大多数もそうであったような気がする。)
だから、『去年と同じシーンを同じように眺める贅沢』を、この歳になってようやく少し判ってきた。
南都・法華寺の蓮華会式。
県指定文化財の「光月亭」で「小豆粥」をいただき、尼寺に相応しい“造りの美しい”茅の輪をくぐって来た。何もかも去年と同じ小規模で落ち着いた行事だった。
遠く道教~陰陽道に起源を持つ?厄除けと夏越の行事である。
「光月亭」は大和の古い民家を移築したもの。
「小豆粥」はもちろん其処の「おくどさん」で炊かれていた。大和の「茶がゆ」に小豆が入っている。それに100%自家製の梅干が美味しい。
今年の新発見はただ一つ。
報道関係のカメラマンも走り回る南都の有名寺院。それでも結構な参拝者数。鐘の音や鈴の音をバックに進行する落ち着いた行事の所作。そんな皆の頭の上に、全てを超越した女郎蜘蛛が夕風を楽しんでいたこと。 善哉、善哉。
先日家族に怪我があった。皆がちょっとショックだった。しかし、この蜘蛛を見ていると、全てが「大難小難、大難小難」と思えてきた。この言葉は「大難になりそうなところが小難で済んでよかった。感謝、感謝。」と言う意味で、実母の口癖だったもの。
法華寺、蓮華会式、大難小難、大難小難。
0 件のコメント:
コメントを投稿