2024年6月28日金曜日

ジェンダーなこと

   例えば既婚者の相手をどう呼ぶかという問題がある。
 
 このブログの読者はお解りのとおり、私は普通に「妻」と書いている。しかし、実際に何処かの場所で妻を紹介するときには「家内です」と紹介する。また、知り合いに彼の妻の様子を尋ねる場合には「奥様は如何」などという。
 「家内」だとか「奥様」というのは女性蔑視だという「主張のある」のは知っているが、まだ「連れ合いです」とか「お連れ合いは」というような語彙は滑らかには出てこない。個人の感想だが「ツレ」などというのはいささか下品なイメージが拭えない。

 そもそも言葉というのは本来保守的なもので、漢字そのものにしても古代中国の思想を反映して作られたものであるし、語彙(熟語)もまた前近代の支配層の「常識」に色付けされているから、そこのところを突き詰めればジェンダーに限らず漢字表記をほぼ全面的に否定しなければならない。

 同時に言葉というのは時代によって大きく変化することもあるから、例えば漢字としては尊敬の意味さえある「貴様」が現代では喧嘩で使用されるということもある。
 だから「家内」とか「奥様」と言ったからといって「後方にいて主体性のない人間」だとは誰も思わないだろうし、さらにそういう意識はさらになくなっていくと思うのだが、それも所詮は「ご主人」の立場の人間の言い訳と捉えられるかもしれない。
 日本語というのは、文法はそのままで外来語をいくらでも取り入れられる言葉だから、相応しい造語を上手く作れば解決することもあろう。

 私の父母は明治生まれであったが、父は時どき母のことを「ワイフ」と言っていた。父は早死にしたからその所以は知らない。ただ、京都や大阪・船場にゆかりのある友人のSさんが「ワイフ」と語られたことがあるので、ある時期のそのあたりの旦那衆では広がっていたのかもしれないがよくは知らない。
 こういう風にスマートな新語を広める方が、漢字の形式にこだわって怒るよりも現実的な気もする。(この説は反発もあるだろうなあ)

 さて、あかたちかこさんの「人生相談」みたいなところに、『夫の方が大きい夫婦茶碗に腹が立つ』というのがあった。
 高級和食器などにはそういうものが今でもある。
 わが家の場合、お箸はやはり妻の方が短いが、これはちょうど体格と合っていてそれには女卑のイメージは感じていない。
 一方、塗りのお椀の方は大きくて黒漆塗りの男用に対して小さくて赤漆塗りの女用というのには古いジェンダー感覚そのもの以外の思想は感じられない。質問者の指摘どおりであろう。
 ただ、私は全くの嗜好の問題としてあまり汁物をたくさんいただく方ではないので、わが家では大きくて黒いお椀が妻用、小さくて赤いのが私用となっている。
 ちょっぴりはジェンダー平等を意識しているが、まあそんなところである。あまり偉そうな話ではない。

4 件のコメント:

  1. 私は「嫁」を使います。親しい間柄の人には「うちの嫁はん」、あらたまった時には「うちの嫁さん」と使い分けています。特に意識して使い分けている訳ではなく自然とそうなっています。
    この「はん」と「さん」の使い方は大阪の「船場言葉」からきていると聞いた事があります。「旦(那)さん」は奉公人が主人に向かって使う言葉で「旦(那)はん」とは言わないのだそうです。
    ちなみに私は使いませんが河内弁では「うちのカカ」(カカ様の名は~のカカ)と呼びます。酷いときは「うちのどんカカ!」です。

    返信削除
  2.  話の相手の細君のことは「貴方の〇〇」のここはどのようにおっしゃっているのでしょうか。「貴方のお嫁さん」ですか。 

    返信削除
  3. 親しい人には「あんたの嫁はん」それ以外は「あなたの奥さん」です。
    それとは別に妻のことを家内、細君、連れ、とどのように呼ぼうとパートナーとしてどう思っているのかということだと思います。呼び方でその人物が女性蔑視だとか判断するのはちょっと間違っているのではないかと思います。

    返信削除
  4.  やはり「あなたの奥さん」ですね。
     ただ大切なことは「言われる身」がどう感じるかでしょう。ここが難しいところです。ほんとうは女性からも大いに提案をしてほしいところです。
     なお、「嫁」は間違いではありませんが、第一義的な意味は「息子の妻」というところにも私にはどうも引っかかって使用できません。

    返信削除