昔、国鉄や近鉄や八幡製鉄などが多く「鉃」を 使用していたこともあり、近くの小学生が漢字のテストで✖を受けて困ったという話もあった。
それに比べれば昔からあった異体字に「鬼」の角(つの)(第一角のテン)をとった旧字で鬼子母神と書いているお寺も少なくない。
「テンのひとつくらい」と言うなかれ、「冨田」さんに「富田」さんと書いて怒られたという話もある。
「テンのない鬼」を使用しているお寺(鬼子母神)には「改心した後は鬼でなくなったから」という説明がよくあるが、元々はテンのない旧字もあるから、そういう旧字をただ引継いだだけかもしれない。
先日、二月堂の下の鬼子母神のお守りを求めたら、ここのははっきりと角があった。古いお寺だが、細かいことは気にせず標準字体で・・ということかもしれない。
角川の新字源では「田」の部分は大きなお面で、神霊に扮した様とあるし、白川静の常用字解では「大きな頭」とあって、一部の甲骨文字に酒を振りかけて清めているというのがあるが、両辞書ともに角(つの)という字源はない。
そもそも鬼に角を付けたり虎の皮を穿かせたのは丑寅の鬼門という陰陽道だから、「鬼子母神は角がとれた」というのは後付けだろう。ヒンドゥー教や仏教にも根拠はないと思う。
角のあるなしよりも、自分に引き付けて他人の苦しみを考えろという仏教説話で十分だ。
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