「鬼とは何ぞや」ということは歴史とその時代の社会的背景を考えなければならないことは言うまでもない。
古く奈良時代の鬼の代表は今でいう細菌やウイルスだったから、今は見事に先祖返りしている気がする。
その後、政敵の怨霊やまつろわぬ民が鬼にされたが、この列島で一番近くで大々的に鬼にされたのは『鬼畜米英』であった。
『主婦の友』昭和19年12月号巻頭の記事は、「血のしたたる生の肉を喜んで食ふアメリカ人は、野球、拳闘、自動車競走などを殊に好み、死人や大怪我人が出ると、女はキイキイ声を張り上げて喜び、満場大喜びで騒然となる」とその「鬼」を解説し、二番目の記事の「敵のほざく戦後日本処分案」では「働ける男は奴隷として全部ニューギニア、ボルネオ等の開拓に使ふのだ。女は黒人の妻にする。子供は去勢してしまふ。かくして日本人の血を絶やしてしまへ…」と鬼の姿を教えている。
笑うなかれ。沖縄やサイパンや満州での敗戦前の集団自決の引き金の一つはこういう「女はレイプ」「子供は去勢」という思想宣伝であったし、それがリアリティをもって信じられたのは帝国軍隊・軍人が中国大陸で実行してきたことのアレンジであったからだ。
笑うなかれ。国会では「敵基地先制攻撃」や「敵基地殲滅」が真顔で語られている。他国の政治がみんな正しいなどとは考えないが、それは外交で解決すべき課題である。他国を『鬼』とし退治するような政治宣伝には大いに警戒したい。
そういう崇高な精神で、祖父ちゃんは『鬼のパンツ』を大声で歌った節分だった。
鬼は外 福は内 戌亥の隅にどっさりこ!!
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