2015年1月18日の「ファシズムはニコニコ顔でやってくる」の記事で、この頃のテレビに‟日本人が如何に立派か”という番組がやたらに増えていることに疑問を投げてみたが、今般、琉球新報等地方紙に早川タダノリ氏の『日本スゴイ自画自賛の系譜』という連載があるのを知って、非常に勇気づけられた。
氏は、歴史を見ると昭和6年の満州事変後も「日本スゴイ」愛国本の洪水が押し寄せ、その数年後に日中戦争が全面化し、国民精神総動員運動が始まった。昨今の「日本スゴイ」本ブームが何かの前触れでなければよいのですが・・・と書いている。
ネットのブログで、「何に対しても自信がなく生活に暗くなっていたときに、日本人はすごい!という本に出会い、私はその日本人の一員なんだと思ったとき何か気分がよくなり、ネットを順に追っていくとネトウヨ(ネット上の右翼)になっていった」という独白があったが何か理解できる気がする。
社会に取り残されたもの、一番の被害者こそが、一番そういう荒んだ為政者に夢を託すというのが悲しいリアリズムなのだろう。
大阪では生活関連の事項だけでも、橋下・松井府市政以後、【大阪府】生活関連予算1770億円削減(6年間)、小学校の警備員補助ゼロに、千里救命救急センター、大阪赤十字病院の救命救急センターの補助金の大幅削減・廃止、8つの障害者・福祉団体補助金の廃止、街かどデイハウス補助金半減、特養ホーム建設補助金削減、国保料の市町村への補助金3分の1削減。【大阪市】敬老パス有料化、赤バス全廃、住吉病院廃止方針、国保料値上げ。〈2/17発表の予算案〉介護保険料値上げで20政令市、大阪府内で最高額に、保育料(課税世帯の3歳児)月9100円→18700円、病児、病後児保育利用料値上げと延長保育料新設、というのが客観的事実である。
そして、市の予算で橋下氏の後援会中枢役員の息子を特別秘書にし、その外にも顧問や参与を連発して湯水のように予算を支出し、縁故で採用した教育長や校長、局長、区長の不祥事が後を絶たず・・・、裁判所や労働委員会で敗れ続けている。
それでも、何かを期待する「世間の空気」とは一体何だろう。
大阪府と大阪市があるからだ! 職員が悪いからだ! 従来の政党と議員が悪いからだ! と繰り返されるアジテーションに、テレビの中のコメンテーターや芸能人が感情的な口調で同調する。これでよいのだろうか。
人間は疲労困憊になったとき、思考停止し洗脳に同調するという話を読んだことがあるが、そうかもしれないと思えてくる。
こんな社会の異常は、やはり異常な戦争に突入した前段階と重なる。
早川タダノリ氏の文脈に沿って言えば、現前の事態は破滅に向かう前触れで危険だと私は思っている。
1月24日の「東京メディアは嗤う」で書いてみたが、そういう根拠のない橋下のアジテーションでも「何かやってくれそう」と同調するのが『正しい大阪人』であるかのようなバーナム効果を在阪テレビ局は作ってきた(これについては異論ありとのコメントもあったが)。
木津川 計氏は「都市格を下げた橋下政治」と評されているが、その中で、都市格の条件とは、①文化のストック、②景観の文化性、③発信する情報、とであり、文楽への助成を削り、国際児童文学館を移転・縮小させ、大阪市音楽団やかつて府が設立したセンチュリー交響楽団の経営を追い詰める一方、カジノの誘致で国際バクチ都市に仕向けて都市格が上がろうかと指摘されている。
同感である。
統一地方選挙で維新の退場を促し、大阪の都市格を復興させたいと私は強く願っている。
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