2012年10月13日土曜日

空振りの鷹ウォッチング

  秋風が吹くとサシバやハチクマという「夏鳥である鷹の一種」がインドネシアや中国大陸南方目指して集団で大旅行を開始する。
  その旅行コースは例年ほとんど決まっていて、そういう「待ち伏せ」ポイントで待っていると感動的な大旅行を目撃できる。
  その一つが中央構造線上で、東吉野村と松阪市の奈良・三重県境にある関西のマッターホルン高見山(標高1248㍍)は中でも一番のポイントだったから、過去に何回も行ったことがあったが、我が家からは少し遠い感じがしてここ10年ほどは行っていない。
  そんな折「この京阪奈のごく近所にもポイントがある」と知って行ってみたのが交野市(かたのし)の交野山(こうのさん)。
  結論を言えばこの日は風向きが悪く(穏やかな南風のため)鷹にはお目にかかれなかったが、びっくりしたのはその眺望。北河内から大阪市内はもちろん、京都、北摂、明石大橋、淡路島まで眼下に見下ろす標高341㍍。
  東京スカイツリーの天望デッキはほぼ同じ標高だが、ここ交野山には窓ガラスはなく爽快感は比ではない。高見山の4分の1とも思えない。
  大阪北部の方々には「何をいまさら」ということなのだろうが、灯台下暗しとはこういうことを言うのだろう。私は知らなかった。
  頂上の観音岩で双眼鏡を覗いてみると、かつて勤めていた枚方の職場もすぐそこで、私にとっては感動的なひと時だった。

  さて、交野山の麓には七夕姫を祀る機物(はたもの)神社があり、室町時代創建との社伝よりも実際にはもっともっと古く、元々のご神体はここ交野山であっただろうというのが中国思想史及び我が国の古代史で著名な福永光司、千田稔、高橋徹先生等の指摘。
  そして、桓武天皇(生母の高野新笠は百済の武寧王の子孫)や文徳天皇が中国の天子に倣って道教に基づくと思われる「天神の祭り」を執行した対象の山も交野山をおいて外にないと・・・。
  さらに、ここは幻の長岡京の真南の聖地にも当たる・・ということは、つまり、交野山があるからこそ長岡京が彼の地に計画されたということになる。
  寄り道の話は尽きないが、機物神社、天野川、百済寺、星田妙見、磐船神社・・・ズバリ、ここは千年を越えるパワースポットで、交野山はその中心であったのだ。
  で、観音岩に七夕姫を見たのは古代史を読み過ぎたゆえの白昼の幻覚か。

4 件のコメント:

  1. 交野山の山頂の観音岩でのお姿と眼下の町並みの写真を拝見しますと長谷やんさんの想いが(幻覚が)強く伝わって来ました。

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  2. !「七夕姫」とは口が滑りすぎました。
     私の見たのは中国の月の神「嫦娥」でしょう。
     えっ、月に行ってから蝦蟇になった?
     そこまでは口が裂けても言えません。

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  3. 夏目漱石の「猫」の中に寒月が庚申山でブイヨリンを弾く体験を話す処があるのを思い出しました。迷亭の言うように一人高峰で超塵出俗の境地になると月中の「ジョウガ」を驚かすのでしょう。

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  4. !スノウさんのコメントは素敵すぎます。
     眺望佳絶の一枚岩で鷹を見ず嫦娥を見た私の話は常に自虐の滑稽譚です。

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