2012年1月11日水曜日

十日ゑびす 一寸見

   お正月といえば、初詣よりも「えべっさん」の方が心が騒ぎ、初詣には行かなくても「えべっさん」に行かないとその年は何か出だしが悪いような気がするのは関西人の血なのだろうか。

 と言って、強固な信仰のようなものではないので今宮戎には悪いが今年は初めて『京都ゑびす』の宵戎を一寸(ちょっと)見に行って来た。
 京都ゑびすは四条の花街・宮川町に隣接した由緒ある神社。
 「今宮や西宮ほどには混んでなくてええわあ。これからは京都ゑびすにしようか」とは妻の感想(今宮ほどにはチョー混んでいないと言うだけで結構な賑わい・・念の為)。

 福笹は御祓いを受けた基本の吉兆が付いて〇〇円。
 これについては、私は今宮戎の方式が一番好きである。
 今宮戎は、何も付いていない笹を参拝者に無料で配る。
 だから、ある年、妻は立派な笹を得意げに貰って来たが「もっと小さいのんにせんと、笹に応じた吉兆を付けたらえらい事になる」と私が言うのにキョトンとしたことがある。
 今宮戎はこの「素の笹」を持って「商売繁盛で笹持って来い」という福娘たちに吉兆を付けてもらうのである。(ここからは有料)
 残念ながら、西宮も奈良南市も、そして京都もそういう方式ではなかった。(スタートが無料ではないという意味で・・・。)西宮に至っては人工の笹だった。
 重ねて言うが、私は素の笹を掲げて、「商売繁昌で笹持って来い」の喧騒の中を、福を持っていそうな福娘に付けてもらいに行く今宮方式が好きである。

 正面からのお参りのあと福笹を持って次に進んだのは社殿の横。
 えべっさんは耳が遠いから正面から参っただけではダメ。裏に廻ってドンドンドンと裏口を叩いて「〇〇の〇〇だっせ。頼のんまっせ」と大声をあげなければ参った意味がない・・というのが常識。それが京都ゑびすは社殿の横にあった。なお、この習わしは今宮はもちろん、奈良南市にもあったが西宮にはなかったのでがっかりしたことがある。西宮には何の恨みもないが正直な感想。

 帰りに、吉兆のひとつと言ってもいいのだろう、参道に「人気大よせ(にんきおおよせ)」という、「住吉踊り」(住吉大社の無形文化財住吉踊りの祭事の際の「住吉踊り」という飾り物)のような縁起物があった。傘の中に人形がぶら下がっているのだが、手内職のような素朴な味があるので、『危険な時代への予兆を憂う「人気」(ひとけの意)が「大寄せ」になるように』と、小さいのをひとつ付けてもらった。
 客商売の方だろう、直径1㍍はある大傘を隣で求められていた。何処に飾るのだろう・・余計な心配。
 本来は清荒神の布袋さんのように毎年1ランクずつ大きくしていくらしいが、こういう説は不採用にしないと大変なことになる。
 
 帰りの京都の車内を見渡したら、笹を持って帰る人があまり目立たない。大阪周辺の電車はこんなものではないのに・・、やはり、えべっさんは大阪的な商売人の神さんなのだろうか。だが、歳をいくと今宮戎の大混雑には疲れてくる。
 少し歩いて先斗町(ぽんとちょう)に出られる京都ゑびすは結構気に入った。
 えべっさんに因んで、先斗町で美味しい海の幸をいただいた。ふっふっふ


追伸  翌朝、昨日の土産の甘酒をつくって二人の母の施設に持参した。義母は妻の携帯の「ドンドン叩いて参っている」ムービーを見ながら「美味しいなあ」とたっぷり呑んで喜んだ。実母の施設ではスタッフが部屋の全員に振舞った。福笹を振り回して大声で「商売繁盛で笹持って来い」の合唱が始まり、神社以外でいえば日本中で此処が一番盛り上がった十日戎(戎祭)だったのではないだろうか。???

3 件のコメント:

  1. いつもながらの朗老介護ぶり、きっと日本の介護概念を変えてしまうかもしれん。

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  2. 知りませんでした。「浪花おもちゃ風土記」の【住吉のおもちゃ】の項に「住吉踊(人気傘)」というものがあります。麦わらで作った傘に麦わらで作った人形を吊るしたもので御田植神事の様子を写したものだろうと思いますが、これが別名『人気傘』という事は知りませんでした。
    いずれにしても人の気を呼び込む、という縁起物ですね。

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  3. 何故住吉大社と京都ゑびす神社なのでしょう??
     作っている人はきっと一緒なのでしょう。
     不思議です。
     それはそうとして、「人気大よせ」のために努力しましょう。

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