2018年9月10日月曜日

奈良公園に国蝶を

 9日付け朝日新聞の朝日歌壇・馬場あき子選に おおむらさきの食樹でありし蝦夷榎(えぞえのき)伐られてさびし故郷の寺 (仙台市)沼沢修 というのがあった。

こういうのを見ると奈良っていいなあと思う
幹線道路の中央分離帯
   その前日、8日の『奈良公園の環境を考えるシンポジウム』でもちょっと新鮮で印象に残った問題提起があった。

 パネリストの一人、日本の国蝶オオムラサキ研究所・林太郎氏は、現在は橿原市昆虫館でオオムラサキを大量飼育し放蝶するなどしてその季節にはテレビでも取り上げられるので有名な人だった。

 実は、奈良公園の高級リゾートホテルが計画されている土地は、奈良公園では貴重な110年間鹿が入っていない土地である。
 そして奈良県の調査ではオオムラサキの食樹として有名な榎が40本以上ある。樹齢400年の樹もある。
 奈良公園には現在もオオムラサキが生息しているが、この地を活用すれば「国蝶オオムラサキが舞う公園として世界中にアピールできて観光資源にもなる」というのが氏の提起だった。

 パネリストの一人、谷幸三氏からも「奈良県は自然史博物館を持っていない唯一の県である」「自然保護の観点からも奈良公園と当該予定地を活かしたい」とエールがあった。

 ともすれば「拝金教徒」による自然破壊に対して私たちは「開発反対」という言葉を多用しがちだが、「このように奈良公園の価値を高めよう」という提案は私には新鮮だった。

 難しい話だが、奈良公園の鹿は許容量を超えているという。
 その鹿のおかげで、独特というか、少し歪な?自然環境でもあるらしい。
 当該土地はそれをリカバーできる貴重な土地だろう。
 ちなみに榎は、オオムラサキ以外にも多様な蝶が生育し、タマムシも生育する樹である。う~ん、宝の樹に見えてきた。

 補足をすると、南米コスタリカはモルフォチョウが大きな観光資源になり、外国人観光客向けのツアーもあるとか。
 50㎜~55㎜のオオムラサキはモルフォチョウにも引けを取らない美しさと迫力を持っている。
 迫力でいうと、この蝶は縄張りを持っていて、スズメ、ツバメ、スズメバチでも追っ払うらしい。林氏に聞いた。これはすごい。

 この話に私は愉快になってきた。ルーミスシジミ、ルリコガネ、そしてオオムラサキでキラキラ輝く奈良公園の未来が見えてきた。
 奈良公園高畑町の榎を守りたい。
 その地に高級ホテルはいらない。

1 件のコメント:

  1.  庭に各種のフジバカマを植えて「アサギマダラの来る庭」をせっせと整備していましたが、なんと妻がフジバカマアレルギーを発症して、今はフジバカマ退治に追われています。
     よし、今度は奈良公園にオオムラサキだ。
     高畑の榎を守れ! 拡散をお願いします。

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