2018年8月13日月曜日

死んだ女の子

 ナツメロというよりも近頃全くといってよいほど聴かなくなった歌に『死んだ女の子』がある。(私だけ?)
   ヒロシマ、ナガサキの8月に因んで思い出しておこう。
 ナジム・ヒクメットはトルコの有名な詩人である。
 木下航二は「原爆を許すまじ」も作曲している。

【作曲】木下航二
【作詞】ナジム・ヒクメット
【訳詞】飯塚 広

扉をたたくのはあたし あなたの胸に響くでしょう
小さな声が聞こえるでしょう
あたしの姿は見えないの

十年前の夏の朝 私は広島で死んだ
そのまま六つの女の子
いつまでたっても六つなの

あたしの髪に火がついて 目と手が焼けてしまったの
あたしは冷たい灰になり
風で遠くへ飛び散った

あたしは何にもいらないの 誰にも抱いてもらえないの
紙切れのように燃えた子は
おいしいお菓子も食べられない

扉をたたくのはあたし みんなが笑って暮らせるよう
おいしいお菓子を食べられるよう
署名をどうぞして下さい

 以上が私の知っていた歌だが、最後のフレーズは歌っていたかどうか記憶がない。
 ところで、歌詞を検索している途中で、別の歌詞で元ちとせさんが歌っているのを知った。
 元さんのいうのには、プロデューサーから歌ってみるよう言われ「歌の意味も分からず、自分の中で曲に対する何かがつかめてなかった」まま、結局、録音はしたが発表はしなかった。

 2002年のデビュー後、イベントで広島に来た時、平和記念公園と原爆資料館に立ち寄り衝撃を受け、「最初は訳が分からなかった。だんだん頭が整理されてきて、悔しさや悲しさがこみ上げてきた」。その時「死んだ女の子」が頭の中に浮かび「ぜひ歌いたい」。その場でプロデューサーに言ったという。

 やるからには世界中に訴えたい、と国際的に活動する坂本龍一さんに編曲を依頼。被爆60年の05年に発表。「自分たちが受け継がないと風化し、忘れられてしまう。私は『音楽』という人生を選んだので、歌で少しでも力になれればと思う。
 「原爆や戦争が遠い世界のことと思っている人に、意識の持ち方を少しでも変えてもらえればうれしい」と、元ちとせさんは訴えている。

 元さんの歌う『死んだ女の子』

【作曲】外山雄三
【作詞】ナジム・ヒクメット
【訳詞】中本信幸
【編曲・プロデュース】坂本龍一

あけてちょうだい たたくのはあたし
あっちの戸 こっちの戸 あたしはたたくの
こわがらないで 見えないあたしを
だれにも見えない死んだ女の子を

あたしは死んだの あのヒロシマで
あのヒロシマで 夏の朝に
あのときも七つ いまでも七つ
死んだ子はけっして大きくならないの

炎がのんだの あたしの髪の毛を
あたしの両手を あたしのひとみを
あたしのからだはひとつかみの灰
冷たい風にさらわれていった灰

あなたにお願い だけどあたしは
パンもお米もなにもいらないの
あまいあめ玉もしゃぶれないの
紙きれみたいにもえたあたしは

戸をたたくのはあたしあたし
平和な世界に どうかしてちょうだい
炎が子どもを焼かないように
あまいあめ玉がしゃぶれるように
炎が子どもを焼かないように
あまいあめ玉がしゃぶれるように

 you tubeで聴く限り私は坂本龍一の編曲はもひとつの感じがするが、若い人々にはどうなんだろう。
 老いては子に従えかな。

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