2018年5月31日木曜日

木村草太氏の変化球

   『憲法の未来』と題した木村草太氏の講演を聴いた。奈良弁護士会・日弁連主催のものだった。
 テレビ等での発言(コメント)ではなく、2時間近い話をじっくり聴くと頭の中に満腹感を覚えた。
 その感想はブログなどでは到底納められないから割愛するが、久しぶりに充実感を味わった。

 質疑は質問用紙提出方式で、見ていると100枚近い質問用紙が集まっていた(私の席からそのスタッフのあたりが見えていたので)。
 その中で4~5件しか対応されなかったが、私の「いわゆる押しつけ憲法論への反論方法」が採用され、木村草太氏から幾つかの補足講義を受けた。
 その中で氏が「大日本帝国憲法の改正なのに」という変化球で答えてくれたのが私には新鮮だった。
 
 これまで私は木村草太氏の著書を読んだこともなかったし講義等を受講したこともなかったから、そのあまりにスマートな出で立ちから、勝手に直球勝負の話しかしない(東京の)学者だと思いこんでいた。(関西の学者は極めて高度なテーマであっても適宜笑いのとれない講師は評価が低い)
 私が理解したポイントは次のようなものである。氏曰く・・

 現憲法の制定過程を見ると途中からGHQ案があったにせよ『帝国議会』側の積極的な議論や「折衝」があり、
 大日本帝国憲法の改正という形をとり、
 昭和天皇が公布した。
 この過程を押しつけというなら、押し付けられて唯々諾々としたがったのは昭和天皇であり、帝国議会ということになるが、・・・押しつけ憲法論者は如何に、と私は理解した。
 見事な変化球に私は笑った。

 『日本会議』の本を読んでいたとき何となく引っかかっていた彼らの教義論争「改憲なのか、無効復元なのか、自主憲法制定なのか」という矛盾?の問題も見えてきた。

 木村草太氏は6月に続編を講演するらしい。楽しみである。

   バリュウムに下剤を飲んで五月果つ

2 件のコメント:

  1.  質問状というのは当日提出するのですか?そうだとしたら草太氏やっぱりすごい人ですね。テレビなどで質問やコメントを求められ、よどみなく淡々としゃべる彼の姿に何かロボット的なものを感じていましたが、私も生の草太さんの話が聞きたいです。

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  2.  講演を聴きながら質問用紙に記入し、会場を巡回しているスタッフに手渡したものを、講演終了後司会者が読み上げ、それを耳で聞いて木村氏が答えたものです。
     私の質問にもいくつかの角度から述べられましたが、本文に書いた角度が新鮮だったので記事にした次第です。

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