2018年4月26日木曜日

シリアの情報

   右の写真は24日付け朝日新聞朝刊のダマスカス=翁長忠雄記者の記事である。

 写真上でクリックして拡大して読んでいただけると判るが、アサド政権によって制圧された東グータ地区から政権側キャンプに脱出してきた避難民の「反政権側制圧下の5年間」の証言である。

 軽く読み終えると反政権側による人道危機の告発に見えるが、街を破壊し住民の命を大量に奪ったのはアサド政権・ロシアによる空爆でないのか。

 先日有志連合が空爆した不正はあるが、その前提の毒ガス兵器の使用がアサド政権側によるというのはほゞ間違いないのではないのか。

 この避難民の証言が嘘であると言うつもりはない。
 しかし、メディアは細部をまるで全部であるかのように示すことがある。一昨日の記事で「40か国の首脳がデモの先頭に立った」嘘のようなものである。 
 我々は余程感性を研ぎ澄ましていないと騙されないか。

 ところで、アレッポの反アサド政権側の「自由シリア軍」(ISではない)に潜入した西谷文和氏の文の中に私が少し苦笑した文があった。
 『戦況は、昼間は自由シリア軍が銃撃戦でアサド軍を追い込んでいく。夜間になるとアサド軍がミグ戦闘機や攻撃型ヘリで空爆してくる。
 反政権側の者はいう。「卑怯者、空から撃ちやがって」。ミサイルに脅えながらミグ戦闘機に悪態をつく。
 実際に空爆されている側に住んでみると「戦争は理不尽」で「空爆は反則」と感じるのだ』

 この文は正確な論文ではないし、そもそも正しいかどうかというようなこととは埒外の記述だが、私には妙に戦争の理不尽が伝わってきた。
 暴力(戦争)は第2第3のISを生むだけではないだろうか。
 プロレスの試合のように、アサド政権、自由シリア軍、ISなどが殺し合いを続けているのを、ロシアや有志連合(米仏など)のそれぞれの軍事産業がビールを片手に笑っていないか。

   空爆を反則というアラブ兵批判すべきかともに笑うか

2 件のコメント:

  1.  念のために若干解説すると、
     アサド大統領は絶対少数派のシーア派に属し、絶対多数のスンニ派弾圧を繰り返してきた。
     自由シリア軍は代表的な反政府武装勢力だが多くの派閥があると言われている。ISとは敵対しているが、過激派が指導権を握りつつあるとも言われている。アメリカ、トルコ、サウジ、カタールなどに支持されている。
     有志連合とはアメリカのHPでは63か国とされていて日本も入っている。アメリカ、欧州連合、フランス、イギリス、ドイツなどが中心。
     IS(イスラム国)はフセイン時代のイラクの軍人や官僚が中心になったので非常な組織力を持っている。

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  2.  化学兵器を使用したのはアサドか反政府側かというのは正直に言ってよく判らない。ロシアもアメリカも言っていることが信用できない。ただ以下のアドレスで西谷文和氏は「政府軍兵士がガスマスクを所持していた」と述べている。下のアドレスをドラッグして反転させて「移動」してください。
    https://twitter.com/saveiraq/status/371461736932470784

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