2018年3月17日土曜日

自殺に追い込まれた背景


 国家公務員一般労働組合のブログ『すくらむ』の記事を以下に紹介する。
 ノンキャリアの国家公務員が誰でも50代で管区機関の課長補佐になれるわけではないが、それはさておき、現場の雰囲気が正直に反映されている記事である。
 私は自殺事件という「話題にかこつけて」森友問題を書く気などはさらさらない。
 「そう思われはしまいか」というように躊躇して語ることを遠慮することの方が不純ではないかとも思っている。
 正直に言えば、国公労働運動の経験者から大きな声が聞こえてこないことが少し悲しい。

 2018-03-16 18:32:27 『財務省・近畿財務局のノンキャリ職員を自殺に追い込んだ財務省本省と森友優遇政治家』 

 経済産業省の仲間でつくる全経済産業労働組合副委員長の飯塚盛康さんと話していて、財務省・近畿財務局の職員が自殺された話になったのですが、飯塚さんが「地方出先機関で働くノンキャリ課長補佐というのは私と同じ役職だったんだ」とのことで、この問題について飯塚さんが書いてくれたので以下紹介します。

 315日のNHKニュースウォッチ9のトップニュースは、財務省・近畿財務局の職員が「このままでは自分一人の責任にされてしまうなどといった内容が書かれたメモを残して自殺した」というものでした。

 自殺したAさんが働いていた近畿財務局は財務省の地方出先機関で、私が働いていた関東経済産業局も経済産業省の地方出先機関です。

 同じ地方出先機関の50代でノンキャリ課長補佐というのも、私と同じ役職なので自分のことのように思えてなりません。

 まず、地方出先機関とはどんな位置づけなのかというと、本省が立案した政策と予算をもとに業務を執行するところです。経済産業省でいえば本省が立案した補助金を経済産業局が事業者に交付するという関係です。

 地方出先機関で仕事をしているのは、一部の幹部を除いてノンキャリです。経済産業省は経済産業局の職員が本省に意見を言える非常に風通しのいい役所ですが、財務局を含む他の省庁は本省に地方出先機関が意見を言える官庁ではないようです。いわゆる上意下達という関係にあると思います。

 今回の森友学園の改ざん前の決裁文書を見ると、交渉経過が詳細に書かれていますが、議員や安倍昭恵さんのことまで書いてあることに違和感を覚えます。

 Aさんは森友学園への国有地払い下げに関して、いろいろなところからの圧力があって、かなり危ないことをやっているという思いがあり、彼の正義感とリスクを回避するために交渉経過を詳細に書いたのではないかと思います。

 Aさんが回避したかったリスクとは、会計検査院の検査だと思います。ほとんどタダで国有地払い下げをしなければならなかったAさんは会計検査院の検査があったら、この決裁文書を見せて「様々な要因で特別な処理をした」と言いたかったのだと思います。

 この決裁文書に印を押した上司はAさんのような正義感があったかはわかりせんが、少なくとも会計検査院に対するリスクを回避したいと思っていたはずです。

 ところが、昨年2月に森友学園が国会で問題になりました。国会の答弁書を書くのは本省なので、答弁に合わせた改ざんを指示したのは本省に間違いありません。

 本省は財務局の上の方に指示をして、Aさんに改ざんを命令したのは、直接の上司になります。その上司は、「本省から○○部長あるいは財務局長に決裁文書を書き換えるように指示されたのでやってくれ」とAさんに指示したと思います。

 地方出先機関の補佐が、上司に「本省の指示があったからやってくれ」と言われたらノーと言えません。なぜかと言えば、そういう指示系統で仕事をするように教育されてきたからです。

 今、大悪人となっている佐川宣寿さんも含めて国家公務員が、懲戒に相当するようなことを自分から行うことはありません。

 どうしても、やらざるを得ない状況だったのだと思います。Aさんは本省から降りてきた命令で、佐川さんは政治家からの命令だとしか考えられないのです。

 決裁文書の改ざんを命令されたAさんは、法律違反を犯すことをやらされることに苦しんだことでしょう。しかし、地方出先機関のノンキャリ補佐にとって本省から降りてきた命令に逆らうことはできないのです。

 そして、その後、改ざんした決裁文書が大阪地検、国会議員、会計検査院に出されるとは思ってもみなかったのではないでしょうか。

 それを知ったAさんは周りの者は異動しているにもかかわらず自分だけ異動しないということは、担当として自らの判断で森友学園に格安で土地払い下げを行ったという責任を取らされるのではないかと考えて精神を病んでいったのではないでしょうか。

 そして、3月2日に朝日新聞が決裁文書の改ざんの疑いがあるとの記事が出た後、財務局との間でどのようなやりとりがあったのかは不明ですが、最悪の手段を取ってしまったことは大変痛ましいことです。同じノンキャリとして、Aさんをそこまで追い詰めた者たちを許すことができないのです。(全経済産業労働組合副委員長・飯塚盛康)

1 件のコメント:

  1.  名古屋の中学校の前川氏の講義内容に文科省が常軌を逸した質問。これは政治家が文科省に圧力を加えたからではないのか。
     過労死をさせた張本人ワタミが国会で過労死遺族に侮辱的な逆質問。セットした自民党が腐敗していないか。
     天皇代替わりの最初の儀式に女性皇族は参加させないと菅官房長官。私とは縁遠い話ながら何という時代錯誤。
     言いたいことはいっぱいあるが、先ずは安倍晋三を辞任させよう。

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