2017年9月8日金曜日

奈良公園ゴルフコース

   奈良公園、春日大社の一之鳥居から東の本殿に向かう参道を行き循環道路(自動車道路)を越えると右手(南側)に広がるのが『飛火野』で、春や秋のピクニックの適地である。

 こんな「春日さんの前庭」のような場所に、実はゴルフ場建設計画があったということは全く知らなかった。

 奈良県近代史研究会の竹末勤氏の講義で初めて知った。
 明治43年、香港総領事・船津辰一郎から外務大臣小村寿太郎あて『奈良公園ニゴルフ運動場設置方ニ関スル件』が申達された。
 イギリス人建築家W・ウェルトンの提言には、
 ① 奈良公園ニハゴルフ運動場トシテ最適当ナル地域アリ、右地域ニ相当ノ設備ヲ施セハ東洋ニ於ケル第一ノゴルフ運動場トナル
 ② 本邦ヲ漫遊スルモノハ必ス奈良ニ立寄ル様可相成、従テ同地ノ繁栄策トモナル可
・・とあった。
 奈良県は、参考のため神戸ゴルフ倶楽部を調査したりしたが、政府の富国強兵策とマッチしなかったのか、この構想はその後消滅した。

 奈良の歴史というと古代史や中世史ばかりの観があるが、近代史も捨てたものではなさそうだ。
 2013年7月13日に『維新と大砲』というタイトルで吉村長慶のことを書いたが、廃仏毀釈時の奈良は動乱の時代であった。
 いつの世も、権力にヨイショをして金儲けを企んだ奴らがいた。

 現代も、国立公園・世界文化遺産の地に「特区」的に高級ホテルを造ろうと策動している面々は多い。
 奈良のおもしろいところは、自民や公明がそういう文化破壊の先頭に立ち、共産が「寺社やその文化を守れ」と運動しているところが世間の常識?とひっくり返っていて可笑しい。
 なんとなく作られた印象(保守や革新という言葉)で物事を計ってはいけない。
 歴史や伝統を一番大事にしているのが共産党だと言ったら世間は驚くだろうか。

    昔からアオマツムシはグローバル

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