2017年8月7日月曜日

吉丁虫

   新潮日本語漢字辞典を開くと、吉丁虫と書いてタマムシと読む。
 英語では Jewel Beetle 。何れも美しく目出度い名前である。
 わが家の窓の外のケヤキに毎日のようにやってくる。5~6匹が乱舞する様はこの世のものとも思えない妖しさで、『魂虫』ではないかと想像の翼が広がる。
 「あれは魂虫だ」、そういう風に論じている方は何処かに居ないかとネットを検索すると、2015・8・7 yamashirodarori に「魂虫」が出てきた。あはははは。

 そのネットで得た別の情報では、藤枝市に「玉虫研究所」というのを造った方がいて、人工繁殖にも成功していて静岡県では有名だという。芦澤七郎氏らしい。
 そして、そこで知った情報では・・・、
 奈良の法隆寺に1300年以上前の飛鳥時代に作られた国宝「玉虫厨子(たまむしのずし)」があり、4800匹の玉虫の羽が使われているが、韓国の1500年前の古墳からも、ヤマトタマムシの羽を使った立派な馬具(鞍)が出土している。
 玉虫厨子と韓国の馬具の共通点は、日本の玉虫の羽根を使い、金メッキの透かし銅板で羽根を抑え、透かしの間からタマムシの羽根が見えるような造りになっていること。
 韓国では古墳から出たこの玉虫馬具の複製が平成18年に完成し国立博物館に展示。複製過程が全国でテレビ放映され、国内での反響が大きかったという。
 韓国は日本より気温が低い関係かヤマトタマムシがほとんど生息せず、1500年前は寒冷期で今よりさらに気温が低かったので、日本産のヤマトタマムシが韓国で使われたものと考えられている。

 さらに、静岡新聞に玉虫研究所の記事が掲載されたことから、韓国・ウルサン市のテレビ局、ウルサン文化放送から電話があり、玉虫装飾馬具を複製するにあたり、玉虫の羽根が必要だが、韓国には玉虫が殆どおらず、日本でいたるところ探していたが、400匹しか集まらなかった。目標は3000匹なので協力して欲しいとの依頼で、3000匹は無理だがと、之まで貯めていた羽根を無償で提供したらしい。
 馬具は日本の玉虫厨子と同じ技法で作られている。しかも玉虫厨子より製作が早い。新羅・百済の時代、盛んな交易を背景に半島から日本に渡った人々が玉虫を持ち帰ってみごとな工芸品を作り、後に技術を日本に伝えたのであろうか? 
 提供した玉虫の羽根を使った馬具は韓国の人間国宝(崔光雄さん)の手で複製され、国立慶州博物館で2006年4月に披露され、招待された芦澤七郎氏は、博物館長や崔氏らと除幕式の幕を引く栄誉に預かり「玉虫博士」と紹介された。(要旨引用おわり)

   以上は私の知らなかった情報で、しかも素晴らしい国際親善の話だ。
 タマムシはやはり魂虫である。

 孫の夏ちゃんがやってきたので「早く2階においで」「タマムシが素晴らしいやろ」と見せてあげたが、「幼稚園の帰りにも見た」とそっけなかった。ああ。
 その翌日、タマムシを捕ったので持っていってあげた。
 やはり、その美しさに感激してくれた。
 「死んだらタンスに入れておくと服が増えるよ」と教えてあげた。

    玉虫の乱舞妖しき油照り

2 件のコメント:

  1.  かねがね環境問題などでドイツはしっかりしていると感心することが多かったが、そのドイツでは昆虫採集は法律で禁止されている。魚釣りも自動車免許のような国家資格が必要。
     NHKのクールジャパンという番組の「昆虫採集はクールか?」というものでは、「昆虫採集」を楽しむという文化があるのは日本くらいなもので、スタジオに持ち込まれたカブトムシやらクワガタなんかを見て、スペイン人も、ドイツ人も、アメリカ人も、フランス人も、シンガポール人も、ベネズエラ人も、皆が皆、カブトムシ見て恐怖して逃げ惑った。
     タマムシを喜んだ夏ちゃんは日本人です。

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  2.  夏ちゃんの写真を見て思うのですが、キラキラ輝いているから人は楽しみ、もしこれが黒いゴキブリならギャ~というのでしょう。考えればタマムシもゴキブリもほとんど変わらないのではないでしょうか。「人間は勝手や」と昆虫世界では言われていることでしょう。

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