2017年5月20日土曜日

今年もモリアオガエル

   5月19日、奈良公園大仏殿近くの吉城園(よしきえん)。
 毎週通っている孫の通院先に近いので、少しだけ時間を融通して訪問し、今年もモリアオガエルに逢うことができた。
 モリアオガエルは水中でなく樹上に卵を産む希少な種であるので、天然記念物に指定されている府県も多い。
 写真1は池の上に張り出した木の枝の卵泡で、樹上だけでなく池の水面近くの草むら数か所にも卵泡はあった。
 恋の季節である。

 写真2は親ガエル。樹上ではほとんど動かず、動いても「のそりのそり」というようにしか動かないので、それが反対に見つけ難い。

   気配を消して待っていると、ゴゴゴ、ゴゴゴ、ゴゴゴ、そしてトトトトトトトというようにけっこう大きな声で数匹が鳴き始めたが、声はすれども、写真2の親ガエル以外の姿は確認できなかった。(目の前の草むらに居るのは確実なのだが)
 微妙な鳴き声を文字にするのは非常に困難だが、私はこう聞いた。

 さて、奈良県知事はこの吉城園の隣を高級ホテルにして、吉城園をそのホテルの庭にすることを計画している。
 モリアオガエルは奈良県のレッドリストに絶滅寸前(絶滅危惧種Ⅰ類)と書かれているのだが、それが行政の力で文字どおり現実のものになりそうだ。
 地方自治行政を「金儲けという物差し」でしか考えられない知事は、少なくとも奈良にはふさわしくないと私は思う。

 かつて東大寺206世別当の上司海雲(かみつかさ かいうん)師(明治39~昭和50)は、志賀直哉、杉本健吉、会津八一、入江泰吉、須田剋太等々奈良の文化人のサロンを運営されていたが、その当時も奈良県は奈良公園内にホテルを建てようとか、いわゆる行楽地としての開発を推進したのに、サロンの文化人たちは強力に反対した歴史がある。
 その折、上司海雲師は県の「観光開発」の貧弱な思想に対し、青丹よし奈良の京(あおによしならのみやこ)を踏まえて「阿保によし奈良は田舎」と叱責されたのはあまりに有名。

    天蓋に白玉吊りし青蛙

1 件のコメント:

  1.  私は堺市のど真ん中で育ちましたので、海以外の自然を知らず大きくなりました。ですから大の大人になってから奈良に住んで、奈良公園の飛火野の奥でモリアオガエルの卵泡を教えてもらったときには「日本にはまだ自然が残っているんだ」と大感激をしました。その後、飛火野にも、春日参道の白藤之滝茶屋にも見つけるのが困難になりました。吉城園のモリアオガエルを守れ!と声を大にして言いたいと思っています。

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