2017年4月26日水曜日

軍拡は抑止力になるか

 ここ数日の記事について「解り難い」という指摘を受けた。複雑な国際情勢を単純明快に一言で述べよ!というのは酷な話で、「読みながら一緒に悩んでほしい」というのが私の正直な気持ちだが、そういうのは流行らないようだ。なので、無茶を覚悟で北朝鮮問題を単純に述べてみたい。

 1 金正恩の北朝鮮が核開発を進めミサイル開発を進めているのは、国連決議に違反する不当なことである。
 2 それを止めさせる為には、非軍事的制裁と6か国協議を基本とする外交で圧力をかけることである。
 3 事実、中国が非軍事的制裁に協力していることが大いに圧力になっている。
 4 反対に、「軍事的なあらゆる選択肢」がトランプや安倍晋三によって叫ばれているが、それは全く非現実的である。
 5 「あらゆる選択肢」が金正恩ら指導部をピンポイントで「瞬殺」する事を指しているとすれば、過去及び現在の米軍の実力をあまりに楽観的に事実誤認していると言わなければならない。つまり、ありえない。
 6 米日側がミサイルなり空爆なりで「圧力」をかけて方針転換を迫るというのは次の二つの点で現実的でない。 ①独裁国家の指導者は自身のカリスマ性が瓦解するような弱気と捉えられる妥協は一切できない。②軍事独裁国家は勝算がなかっても反撃しなければ指導部が存続しえない。
 7 よって「軍事的なあらゆる選択肢」は予想外の暴発を招くおそれを高い確率で含んでいる。
 8 つまり、「軍事的なあらゆる選択肢」は即、本格的な都市間戦争となる。その場合、在日米軍の出撃や安倍晋三の対米従属方針から、北朝鮮が日本列島を標的にするのは間違いない。
 9 その場合、日韓の一般住民が100万人死亡するというのが米軍のシュミレーションである。
 10 北朝鮮が複数のミサイルを同時に発射した場合、そのすべてを迎撃することはできないというのも常識である。仮に通常ミサイルであったとしても、日本の原発の全電源喪失が起これば、核攻撃と同じ惨状が生まれる。9.11時にアルカイダが一時アメリカの原発を標的にしたことを想起してほしい。
 11 以上のようなことは私が指摘するまでもなく常識に属することである。しかし、トランプ政権はほとんど官僚機構が構築されていない。日本は官僚の人事権が内閣府に一元化されたことで、政治(つまり安倍日本会議内閣)主導が極まっている。よって、ポピュリストの幼稚な判断がブレーキなしに実行される可能性がある。
 12 以上が私の言いたいことで、常識的には「先制攻撃も辞さず」などあり得ないが、トランプと安倍の「外交ど素人コンビ」は東アジアを滅亡させる暴発の可能性を秘めている。
 13 だから、北朝鮮を巡る情勢を「一言で語る」などということは考えずに冷静に考え、「軍事的選択肢」を評価するような政府与党、そしてマスコミの論調に惑わされず批判していかなければならないということをあえて言いたい。
 14 緊張が高まれば「強気の熱狂」が社会を覆い、理性的で冷静な意見が「北朝鮮の代弁だ」「売国的な弱音だ」というような問答無用のレッテルで封殺される。それは、北朝鮮問題を利用した「戦前回帰」政治を一挙に後押しするだろう。なので、解ったような顔で「戦争になんかならないだろう」と第三者的に冷笑する姿勢は良くない。

    木の芽時くしゃみの声響きおり

1 件のコメント:

  1.  テレビのコメンテーターの特徴は、Xデーは何時か!だとか、北朝鮮の軍事力は恐れることはない!だとか、面白おかしく解説しているが、大切なことはXデーを迎えないための政治・外交努力ではないか。北朝鮮の軍事力でいえば米朝衝突でアメリカは負けないだろう。しかし、決着までの間に日本人が死んだり国土が放射線で汚染される可能性がある。政治・外交努力というと弱気で非現実的であるかのように言う人がいるが、中国が石油の供給を大幅に制限すれば北朝鮮のダメージは決定的になるだろう。考えもせずに「軍事衝突はあり得ない」と笑うのも、「軍事力で脅したらええねん」と笑うのもどちらも正しくない。

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