2016年12月30日金曜日

2016年沖縄であったこと

   裁判官は人事異動で法務省という行政府の官僚になることもあることをご存知だろうか。
 行政府のトップは内閣総理大臣で、かつては各省庁で決定されていた上級幹部の人事が現在は内閣府が一元化している。
 つまり、三権分立の建前はあるものの、司法の中心を担う裁判官の人事も事実上行政府(内閣)の意向が大きく関与している。

 ところで福岡高裁那覇支部は、通常、裁判官の在任期間はおおよそ3年であるところ、前任者がわずか1年で転出し、赴任してきた多見谷裁判官も前任地を1年2ヵ月で異動してきた。
 辺野古代執行訴訟対策のための政治的な人事異動といわれている。

  結果(判決)は予想どおり「基地問題は国が考えることだから地方自治体は文句を言うな」というものだった。
 そして最高裁は12月20日沖縄県の上告を退け、敗訴した沖縄県は26日「埋立承認取消処分」を取り消した。

 奇しくも26日、琉球新報や東京新聞に元日本兵飯田直次郎さん(95)の手記が紹介された。
 それによると、1945年6月、摩文仁の壕に潜んでいたとき周辺住民や海軍兵から「ひどい軍曹がいる」と聞いた。
 住民や子どもを殺害したり女性を強姦したり食料を略奪したりするほか、その一帯で水が飲めた唯一の井戸を独り占めしているというものだった。
 飯田さんは実際にその悪行を目撃し、ある晩、井戸で住民に嫌がらせをしているのを見つけ、「もう限界だ」と考え軍曹を射殺したという。(思うに、この軍曹もきっと靖国に奉られているのだろう)

 また、本島南部の激戦時、食料が尽きた日本兵どおしが殺し合う事態も「よくあった」という。
 「戦場では人間が人間でなくなってしまう」と振り返り、「沖縄の人々にとって戦後は終わっていない」と語っている。

 この記事を読んだからというのではないが、安倍政権の姿勢には対米従属だけでなく、沖縄の人々に対する差別意識があると私は思う。
 なので、それの批判をしないというのは間接的ではあるが加害行為に手を貸していることになる。
 原発問題しかり、いじめ問題しかり、見て見ぬふりこそ現代日本の病巣ではないだろうか。
 「見て見ぬふり」! どうすれば法律以前に倫理がある社会ができるのだろうか。
 心ある宗教家の力をお借りしたい。

    (さる)師走美ら海(ちゅらうみ)黙れと判決文

 沖縄県は、官房長官の慇懃無礼な言い方をなぞれば「法治国家ですから、最高裁判決を受けて『取消しの取消し』をおこなった」。しかし、辺野古の工事に関しては今後もまだまだ地方自治体の権限に属する手続きは生まれてくる。そのとき、法治国家ですから国はその手続きに従っていただこう。つまり、闘いはまだまだ続くし、どうしようもなく敗北したわけではない。

3 件のコメント:

  1.  昨日のコメントの続きになるが、真珠湾から帰った翌日に防衛相が靖国に奉った。首相も批判しない。
     首相や防衛相とは考え方も立場もことにするが、それにしてもだ‥、やくざにだって仁義というものがあろうものを、オバマもアメリカメディアもこれでは立つ瀬がない。
     太平洋戦争が自存自衛の正義の戦争だったと言い続けるならアリゾナ館に行かなければよい。
     それをアリゾナ館から帰って翌日に靖国に行くというのは人の道に反しないか。
     この内閣はモラルハザード内閣である。
     この内閣がトランプ氏と相対する新年は、彼らの自滅の道になるだろう。

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  2. 全くの同感です。信じ難い無謀な太平洋戦争を仕掛けた戦前の軍部、右翼の感覚とぴったりと符合する安倍内閣です。加えて大手新聞メデアの救いがたいテイタラクぶりは国際的笑いものになると思います。その内に爪弾きにされるでしょう。我々も騙されてはなりません。

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  3.  首相が「不戦の誓い」を述べ「和解の力」を宣言したなどと天にも昇るようなヨイショをしたマスコミは責任を取りなさい。
     スノウさんのおっしゃる通り、騙されないよう発言を続けたいと思います。

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