2016年11月19日土曜日

自然保護は難しい

刻印から清澄窯(きよすみがま)杉原はるみさんの作品と思う
   先日「自然保護」に関する鼎談で、東大寺の上司永照教学執事が「ナンキンハゼは外来種だからと言って伐採つまり殺していいのか。鹿が増えすぎていると言って減少させていいのか。仏の教えの上からは悩ましい」と発言されたのが頭の奥に残っている。
 
 東大寺は、以前に大仏殿の北東で貴重な遺跡発掘調査をしたときに、その工事の濁水で一定の場所の源氏蛍を滅ぼしたという苦い経験もあるとのことだった。

浮雲園地
   自然保護というのは各論になるとほんとうに難しい。
 自然保護の鏡のような春日山原始林も、適切な駆除をしないと遠くなくナンキンハゼ等の外来種に取って代わられるとも言われている。
 そのナンキンハゼだが、東大寺境内に隣接する県所轄の浮雲園地(大仏殿前交差点の東北)や春日野園地には県等によって植栽されたナンキンハゼが大木になって紅葉している。
 奈良公園のメーンストリートである登大路も同様で、県庁前も大木となっている。

 奈良公園の鹿も昭和20年には79頭だったものが自然保護のおかげで平成28年には1,455頭まで増えたのだが、そのため近親交配の弊害が増えているらしい。

 私の庭を見ても外来の樹木や花や野菜が少なくない。
 ナンキンハゼも自然に生えてきたのを西日除けのために大きくした。

 冗談ではなしに、人間だけは「多様性」の名の下に移住し、あるいは国際結婚・ハーフなどどちらかというともてはやされている。
 そういう時代に、動物や植物だけは「固有種を守れ」「外来種は駆除しろ」と言っている。
 そういう矛盾したような気分のまま、やっぱり私はこの土地に古くからいた在来種が生き残れるような自然保護活動に賛同する。
 そのためには、一定の駆除・殺処分も仕方がないと思っている。(読者には異論もあるに違いない)

 さて、自然環境の破壊で一番先に犠牲になるグループに蛙がいる。
 私がこの1年間追っかけたモリアオガエルも、昔は飛火野の池にもいたし春日大社参道白藤瀧茶屋の池にもいた。
 確実に減っているなという実感がある。

 なので、わが庭の外来種等の贖罪と自然保護支援の気分を込めて、我が家の玄関に写真の蛙の表札を掲げることにした。
 ポストマンが「ここは環境にやさしい家ということだな」と思うか、「ここの住人はこんな感じにだらけているようだ」と思うかは解らない。

    糞虫(ふんむし)を語る僧あり冬浅し

 余禄  自然破壊の最たるものに反対せずして何の環境保護か。テレビの「クールジャパン」で「日本のキノコ」を特集していたが、ウクライナのオルガさんが「ウクライナではキノコ狩りは禁止されています」にはびっくり。理由がチェルノブイリだというので悲しく納得。で「日本では除染されたので大丈夫」って大丈夫?

1 件のコメント:

  1.  この鼎談を含む講演会のメーンの講師は谷幸三先生で、それは内容が深く楽しいものでした。

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